短ブック

□自由主義者の発言
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ゴォォ・・・となるクーラーの音を聞きながらふと顔を上げて外を見る

炎天下の外は蜃気楼が出来てしまう程地面を熱している

こんな日は部屋の中に籠ってクーラーにあたるに限ると脳が命令したため仕方なく部屋の中にいる

断じて外に行くのがダルい訳ではない、断じて

「セレナ」

「な〜に?」

私の膝の上に頭を置くローが私の髪を緩く引っ張りながら名を呼ぶ

私はそれに反発することなく下を向く

「どこ見てんだ」

「どこって、外だよ?」

「俺をずっと見てろ」

「ふふ、何それ」

「そのままの意味」

そう言って私の頭を引き寄せ、自分は少し頭をあげて唇に一つキスを落とすのだ

「首、痛くなっちゃうよ」

「それは見てろって事か?キスの事か?」

「両方〜」

そう言って私はローに起きるようにたもす

だがローは眉間に皺を寄せるだけで起きようとしない

頭が膝にめりこんで少し痛い

「ローさん」

「なんですか、セレナさん」

「起きてください」

「拒否権は?」

「ありません」

そう言ってニッコリと笑えば諦めたように溜息を吐きながら渋々と起き上がった

不機嫌そうに顰めた顔をするローを見てクスッと笑う

「何笑ってる」

「ふふ、ロー拗ねてるな〜って」

「拗ねてねぇ」

「ふ〜ん」

私の返答に更に顔を顰める

それにお構いなしで私はローのあぐらの上に頭を乗せる

その行動に驚いたローは目を見開きながら私を見下ろす

「・・・・どうした?」

「どうしたって何が?」

それでもすぐにローは穏やかに笑い、私の頭を撫でる

それに目を細めればローも同じように目を細める

「膝枕いきなりさせるなんてお前位だ」

「私以外にいるならその人は裁判にかけちゃう」

「くくく、判決は死刑か?」

「もちろん!」

分かり切った返答なのにローはおもしろそうに笑う

私も小さく笑みをくずす

私の髪を一房手にとり、ローは口づけを落とす

くすぐったいようなその行動

そして落とされた言葉に私は苦笑するのだ

「で、セレナ」

「んん?」

「そろそろ首が痛いんだが?」


自由主義者の発言


「ふふ、さっきの私の台詞です」

「今の俺の台詞です」

「でもどきたくありません」

「拒否権はありません」

「ふ・・・」

「く・・・」

同時に零れた笑いに嬉しくなる

そして私はニコニコ笑いながら『仕方なく』どくのだ

「くくく、お譲さん」

「なんですか?」

「これはどういうことだ?」

あぐらをかいているローの上に座る私

腰にはちゃっかりとローの腕が回ってる

「妥協したの」

「くくく、そうか」

「うん」

「改善点は?」

「ない」

「そうだな、くくく」

END
 

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