短ブック

□折れた骨は接着剤で固定
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「骨は一回折れると強くなるらしいの」

「それ位知ってる」

「うん!ローは私より頭いいから知ってても当然!むしろ知らない方が天と地が入れ替わるよりもありえない」

「なんだそれ」

くつくつ笑うローを私もニコニコしながら見つめる

んん?

見下ろすかな?

今私はローの上に座ってるからローを見下ろす形だし・・・

ま、どっちでもいいや

ローを見てる事にどちらも変わりない

「で?」

「ん?」

おもむろに笑みを消して私を見上げるロー

「何をしようとしてんだ?」

「何って骨を強くしてあげようかと・・・」

私は自分の手元を見る

自分の両手に握られているのはローの腕

浅黒くて刺青があって細く引き締まった、綺麗な腕

その腕を持って今まさに折ろうと奮闘しているのだ

「俺の腕を折ろうってか?」

「うん!そう!」

「俺は今のままで充分満足しているから遠慮する」

「ロー、そんなのはダメだよ?貰えるもんは貰わなきゃ!」

「いや、確実に色んなもん減るし得はねぇだろ」

「だ〜いじょうぶ大丈夫」

「何がだよ」

「たぶん、全部!」

満面の笑顔で告げればローは溜息をついて呆れたような顔で・・・いや、実際に呆れながらこう聞いてきた

「一つ聞くが今回俺は何をした?」

「ありゃ?何かした自覚はあるの?」

私はその言葉に首をグリンッと横に向ける

これ皆に怖いって言われるんだよね〜

なんか首がそのままとれそうだって

それはローも同じようで私がこうやるとすぐに首を元の位置に戻そうと手を伸ばす

今回も例に漏れる事なくそうする

「お前がこんな事するのはそういう事だろ」

「むふふ、よく私を見てるね〜」

ニコニコ笑いながらローの腕から手をはなして頭を撫でる

「・・・・」

されるがままのローはいつもとちょっと違って変な感じだ

「・・・・お前」

「ん?」

「笑えねぇのに笑うフリすんな」

その言葉に私はピタリと動作を止める

「・・・・なんで分かったの?」

「目が笑ってねーんだよ、バーカ」

そう言うが早いかローは私の頭を引き寄せて自身の腕の中に私をおさめる

ドクン・・・・ドクン・・・・とローの生きている音がする

私の頭を撫で始めるロー

私は先ほどのローのようにされるがままにする

そうしているとなんだか落ち着いてきてしまう

すごく、なんだか、ものすっごく、悔しい

「・・・・ロー、今日女の人と腕組んでた」

「ああ?・・・・それ無理矢理やられたんだよ。すぐ振りほどいた」

「でも組んだ」

「・・・・・どうしてほしかった?」

「腕組まれる前に警戒して回避してほしかった」

「無茶言うな」

ローがそう言うのも分かるよ

当然、普通、常識

でも私は・・・不安と独占欲の塊だから

ローが誰かに捕られてしまわないかっていつも不安で

ローが誰かに触られるのが、近づかれるのが嫌だ

重たいのは分かってるけど私は、それ程にまでローが好きなのだ

愛しているのだ

だから頭の中では理解していても口から出るのは、こんな無茶な戯言

体は捻くれた行動を起こす

ぎゅうっとローの胸の部分の服を握りしめる

私を落ち着かせるローへの悔しさも自分への嫌気も苛立ちも吐き気も全部飲み込めるように

「だが・・・」

「ん・・・・?」

「出来る範囲では、やってやる」


折れた骨は接着剤で固定


「・・・・ロー、やっぱ一回骨折らせて」

「くくく、なんでそうなる」

「こんな素敵なロー、皆見ただけで惚れちゃう」

「くくくく、なんだそれ」

「かっこよすぎて素敵すぎて監禁したい」

「俺がお前を監禁して愛でたい」

「ん〜・・・・ローに愛でられるなら骨の一本や二本いいかも」

「は?・・・・ははははっ!お前ほんと・・・・くくく・・・・!」

「?」

「俺がお前の骨折る訳ねぇだろ。閉じ込めるだけだ」

「あ、そっか」

「本当にお前・・・・・かわいいな」

END
 

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