短ブック
□『熱』って、伝染しますねって話
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「寒い・・・・」
「・・・・・・」
「ねぇ、ロー。寒い」
お口にチャックしてるローの服の裾をひけば呆れたように見下ろされた
いや、ローのことだ
きっと見下ろしたじゃなくて『見下した』だろうな
「お前が出掛けたいっつったんだろ」
早々と話を切り上げてローは歩き出す
手を繋いでるから私も遅れてだけど歩き出す
「ムゥ・・・・でもこんな寒いと思わなかったんだもん!」
「ああ?だからそんな恰好じゃ寒ぃって忠告しただろ」
そうだっけか・・・・いや、出る前にローがなんか言ってたな
楽しみすぎて何言ってるか聞いてなかったけど
「うう・・・・・足寒〜〜〜〜い!」
「短パンはいたお前が悪い」
うっ・・・・もっともです
「首が寒いっ!」
「マフラー持ってこなかったお前が悪い」
だってどこ置いたか忘れたんだもん←
「耳寒いっ!」
「『今日、髪縛りたい気分』って言ったの誰だ」
私ですね、はい
何言ってもローに丸めこまれてしまう
自分が悪いだろっ!・・・・とか思った人
それは口にしてはいけませんよ!
それこそお口チャック!!
「・・・・・・手」
「・・・・手が、どうしたんだ?」
繋ないである手をローがチラリと見る
「すっごくすっごくすっっごく・・・・暖かい、から全部、暖かい」
「・・・・・ああ」
『熱』って、伝染しますねって話
「ねぇ、ロー」
「今度はなんだ」
「アイス食べたい」
「は?・・・・クククク・・・・」
「何笑ってんの〜?!」
「お前は・・・・寒いのか暑いのかどっちだ。クククッ」
「寒くて、『熱い』の。だからアイス」
「あ〜・・・仕方ねぇなぁ・・・・コンビニ寄るか」
「フフ、私ローのこういうところ、好きだよ」
「ふ〜ん・・・こういうところ、だけか?」
「まさか!ぜぇぇぇぇんぶ好き!」
END