短ブック
□ヘッドフォン共有範囲は二人分
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「・・・・・であって」
先生の声だけが響く教室
でも私の頭の中には何も響いてこない
何故か雑音に聞こえる
分からないけど、綺麗じゃない
何が・・・・と言われても分からないけど何かが綺麗じゃない
「で?これが分かる奴はいるか」
誰も手を上げない
まぁ、そんなのはいつもの事
「・・・そうか、トラファルガー、答えてみろ」
斜め前の席のトラファルガー君
彼は優秀な不良くん
ほら、今だってチッ・・・て舌打ちをした後にスラスラと歌を歌うように答える
「正解だ」
あ・・・また雑音入った
これはもう諦めるしかないかな・・・ヤダな
それにしてもトラファルガー君の声はどうしてこんなにも綺麗なんだろう
雑音に聞こえない
耳に心地よく入って頭の中に浸透する
不思議で、とても気持ち良い感覚だ
キーンコーン・・・・・
耳障りなチャイムの音
「それじゃあ今日はこれでおしまいだ。起立」
雑音にしか聞こえない先生の声