短ブック
□幸せ色の帰り道
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「もう!ローなんて知らない!大っ嫌い!」
ローが何か言い返そうとしたが、私は素早く部屋のドアを閉める。
「セレナ?どうしたの?」
ドアを閉める時に大きな音を出し過ぎたせいか、ベポが少し離れたところから走ってくる。
私はあまりにもイライラしてそのベポの隣を無言で通りすぎる。
それから私は声をかけてくるクルー達みんな無視して甲板に出た。
今は島に停泊しているので都合がいい。
船を降り、街に向かって歩いていく。
(なんでよ!ローのばかばかばかばかばかっ!)
聞こえるのは自分の足音と、風をきる音。
森を抜ければすぐに街が見えてくる。
私はただひたすら、あの船から遠ざかるように歩いていく。
自分が街のどこに向かってるかなんて分からない。
がむしゃらに歩いて、人にぶつかって、足がもつれて転びそうになっても、私は足を止めない。
「・・・・・はぁ。」
足を止め、その場に立ちすくむ。
「・・・・・ばか・・・・・私のおおばか。」
ローは何ひとつ悪くない。
ただ自分がローに八つ当たりしてしまっただけだ。
現に、ローは私が怒鳴っている時には何も言わなかった。
ローが何か言おうとしたのは部屋を出る直前の時だ。
「はぁ・・・・・。」