短ブック
□平行線をこえて
1ページ/3ページ
「おはよ〜!」
「おはよう。」
今日も元気にあいさつをして教室に入ってくるセレナ。
朝からよくあんな大きな声が出るなと俺は毎回感心している。
低血圧な俺は普通ならうるさいと言って睨んでいただろう。
しかし俺はセレナにそれをした事がない。
いつも通り真っ直ぐに俺の隣の席に向かってくる。
「おはよう。ロー君。」
「ああ。」
いつも通りの短いあいさつ。
無愛想な態度なのにそれでも笑顔のセレナ。
こいつは変わってる。
こいつ以外の女共は俺に媚を売って、気に入られようとする。
胸糞悪い嘘くさい笑顔で。
だがセレナはどうだ。
こいつには媚の『こ』の字もない。
他の奴らと接する時と同じような態度で俺にも接してくる。
特別かわいいって訳でもねぇ、ましてや美人でもねぇ。
どこにでもいるような平凡な女だろう。