☆誕生日&イベント

□プレゼントは主人を選ぶ
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クリスマスなんていつも素通りしてた

真っ白に染まる島でも・・・

色とりどりに染まる島でも・・・

真っ暗闇に星が光る島でも・・・

どこで何度クリスマスがこようが私には関係が無かった

何かを願う程子供でもないしプレゼントを渡す友人、家族なんていない

私とクリスマスはあまりにも繋がりが薄すぎた

・・・・・・去年までは






「かんぱ〜〜〜い!!」

「「「「「かんぱ〜〜〜〜い!!」」」」」

シャチの少し調子はずれたような合図に今日何度目か分からない乾杯をする

すでに出来上がってる状態の皆を少し離れたところで私は見守る

私はお酒に弱いので1人ノンアルコールを飲んでたらいつの間にか周りがあんなになってた

みんなが腹躍りをしはじめた頃、私はなんとか脱け出した

楽しそうに肩を組むみんなを見てると後ろから影が覆った

「?船長、どうしたんですか?」

「そういうお前こそ、こんなとこで何してんだ」

ドカッと酒瓶片手に私の隣に座る船長

「私はみんなが腹躍りしはじめたから・・・やらされる前に逃げてきました」

ペロッと舌を出してそう言った

「ククク・・・賢明な判断だな」

「ちょっと船長〜!笑い事じゃないんですからね〜」

なんて怒ったように言う私の声は大分優しいと思う

「それは悪かったなぁ」

少しも悪びれた様子の無い船長

まぁ、当然だよね

「・・・・・去年まで、私知りませんでした。こんな楽しいクリスマス」

「・・・」

何も言わず船長は酒瓶を傾ける

「何が楽しいのか分からなかったし・・・プレゼントをくれる家族もいない」

家族はみ〜んな私を見ない、見えない

「・・・・・一緒にいたいと思える大切な人だっていなかった」

ぎゅっと唇を噛む

すると船長が酒瓶を置いて私の顎をクイッと持ち上げる

私は唇を噛むのをやめて船長の目をしっかりと見る

何もかも飲み込むようなその瞳を怖いと思う人はいるのだろうか

私はすくなくとも怖いとは思わない

「でも、今年ここでクリスマスを祝えて嬉しいです」

何もかも、包み込んでくれるようなその瞳が安堵したように揺れた

「意味の無かったクリスマスが、すごく楽しいです・・・・大切な人たちといれて、嬉しいです」

「・・・・・大切な人たち・・・か」

「?」

「なぁ、 セレナ。俺もその中の一括りなのか?」

「?当然ですよ」

大切な人たちだ

それ以外では・・・・ない、はず

「俺は、その程度・・・か?」

「はい?・・・っつ!」

突然近づいた顔から離れようとしたときには遅かった

頭を固定されて汲むようにキスされた

チュッ・・・とかわいらしい音を残して離れた熱

「セレナ、俺は・・・・」

赤く染まる私の耳元に唇を寄せて船長は一言、こう言う

「お ま え が ほ し い」


プレゼントは主人を選ぶ


「返事は聞かねぇからな」

「へ?はい?え?!そこ返事聞きませんか?!」

「今日はクリスマスだろ。俺からお前へのプレゼントだ」

「っ!なんっ!」

「ちゃんと受け取るだろ?」

「う!いや!あの!だからっ!・・・・っ」

「クククッ・・・」

ボスンッと船長の胸に顔を押し当てれば船長は笑いながら優しく頭を撫でた

「・・・・船長、大好き・・・です」

「っ!!!」

END
 

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