☆誕生日&イベント
□初めてこの日が愛しいと思う
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10月6日。
俺の誕生日。
だが俺はそんなこと、生まれてこのかた気にしたことがない。
ただこの世に生まれ落ちた日。
普段と何も変わらないし、意味なんて無い。
この船のやつらも俺の誕生日を知らねぇから余計に『誕生日』とやらの特別さも薄れる。
別にこの船のやつらが薄情な訳じゃねぇ。
俺が頑なとして言おうとしないから。
唯一知っているペンギンにも口止めをしてあるからこの事がバレることもない。
「船長、おはようございます!ってもうお昼ですけど。」
「ああ、はよ。」
いつも通り船員達とあいさつをかわす。
「俺が寝てる間にサボってねぇだろうな?」
「なっ!俺ってそんなに信用ないっすか?!」
シャチが詰め寄ってくる。
「寄ってくんな。お前は前科があるだろ。」
「あだっ!船長ひどいっす!」
足で緩くければそんな反応が帰ってくる。
別にこいつが嫌いな訳じゃねぇ。
俺のかわいい船員だ。
まぁ、ある一種の愛情表現とでも言っておこう。
「なら疑われないようにしっかりと働くんだな。」
「はいっ!」
すぐに床のモップがけを再開するシャチ。