☆誕生日&イベント

□無慈悲な慈悲を
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「ハートの海賊団ってさぁ・・・いい名前だよね〜。」

「・・・・いきなりどうした。」

今の今まで何を言っても何をしても本から目をはなさなかったローがこちらに目を向けた。

「いや・・・ハートっていいなぁって。この海賊団にぴったり。」

「何がぴったりなんだ?」

しおりを挟んで机の上に本を置くロー。

「ハートを救うんだもん。」

「・・・それは命を救うってことか?」

続けて、それなら俺たちは違うだろ、という。

「そう?」

私は違うなんて思わない。

何故って?

ちゃんと聞いてくれる?

「この海賊団は命を救うのと同時に命を奪ってる。・・・でも私は奪ってるとは思わないんだよね〜。」

「?」

なんとも怪訝そうな顔で見られる。

「命を奪ってるんじゃなくて心を”救ってる”んだもん。」

この海賊団の船員はみな急所を狙って攻撃する。

さすが”死の外科医”の船員だと思う。

みんな医術の知識を一般人以上に持っている。

だからこそ出来ることだ。

残酷だと言う人間が多いがそうだろうか?

どうせなら痛みも感じぬままに逝かせてあげたい。

痛みを感じさせながら逝かせる方が残酷だと私は思う。

私はそこでニッと挑発的に笑ってローを見る。

「私たちは命を救う以上に心を”救ってる”んだよ。」


無慈悲な慈悲を


「クククッ。本当にお前はおもしろいな。」

「フフフッ。そうかな?」

「ああ、そうだとも。最高の女だ。」

「うれしい。でも”正論”を言っただけだよ?」

「ああ”正論”を言っただけだな。クククッ。」

END
 

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