お題ブック

□仲直り
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些細な事でケンカした

でもそれは私にとっては些細な事じゃなかった

ローに似合うと思って買ってきたブレスレットが発端だ

昼に町の中で見つけたそれを夜、皆がお店でお酒を飲んでいる時にこっそり買いに行った

そして見つからないように店に戻った時、扉の前で仁王立ちするローに睨まれたのだ

そこからは簡単

ローからのたくさんの質問攻め

そこには怒り、苛立ちがあり終始睨みっぱなし

ネックレスを見せればそんな事かと言われた

それにずっと黙っていた私の堪忍袋も切れた

怒りと悲しみと寂しさとよく分からない感情でグルグルかき回される感情のままに吐き出して店をでた

・・・・少し頭を冷やせば簡単な事だった

ローがあんなに辛辣な言葉を並べるだなんて思わなくて気づかなかった

ローはただ心配してくれたのだ

心配して、安堵して苛立って、目が、ものすごく悲しそうで

なんで私はそれにはやく気づかなかったんだろう

唇を噛みしめながら岩場に一人膝を抱えて蹲る

目にいっぱい溜まった涙が零れそうで辛い

「ロー・・・」

その名を口に出したらボロボロと涙が零れだした

「ローッ・・・!」

寂しい、寂しいよ・・・・ローに嫌われちゃったかな?

めんどくさい奴だと思われちゃったかな?

やだよやだよ、ローが離れちゃうなんて

「ひぐっ・・・ロッロー・・・・ひぐう、ごめんなさいいぃ〜〜〜〜!」

「俺こそ、すまなかったな」

「?!」

ぎゅうっと後ろからまわる腕、肩に埋められる頭

「ろ・・・ロー・・・・?」

何も言わず痛い位に抱きしめるローの名を呼んでも返事はない

不安に思っていると重々しく口を開いた

「泣かせて、悪かった。泣かせるつもりはなかったんだ・・・ただ、心配で・・・・」

顔は見えないけどその口調は苦々しく、ゆっくりと言葉を紡いでいる

「お前が勝手にいなくなった事に苛立っちまって、焦ってただけなんだだから・・・だから・・・・」

"俺なんて嫌い、いらないなんて言わないでくれ"

小さな小さなその言葉はそれでもちゃんと私の耳の中に入った

ボロボロに流れる涙と嗚咽のせいでうまく言葉を発せない

ふと顔を下げればローの腕にはあのブレスレット

あの時ローに向かって投げたものだ

私はそれを撫でる

ローは少し顔をあげてそれを見つめる

「ね・・・え、ロー」

「・・・なんだ・・・・?」

不安そうに揺れる瞳に私は一言笑顔でこう言うのだ

「やっぱりローに似合うね」


仲直り


「ああ、ありがとう」

「ううん」

「・・・・すまねぇ」

「私もごめんなさい。お昼に行けばよかったね」

「ああ、今度はそうしてくれ」

「うん」

「泣かせて悪かった」

「いいの、ローだから」

「・・・殺し文句か?」

「うん、殺し文句」

「・・・・すm「ロー、仲直りのチュー」・・・・ああ」

END
 

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