拍手ブック

□じゅう
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元々は平々凡々だった私が海賊になろうと思ったきっかけは一体なんだったか

今思えばものすごく不思議だ

ただ、それと同時にあの時行動をおこしてよかったと思える

そのおかげでこの、『今』があるのだから

苦い匂いをあたりに漂わせるカップを口に運ぶその姿をじっと眺める

ブラックはブラックでも、普通よりももう少し苦いらしい

前にペンギンだったかシャチだったかが言ってた

「・・・そんなに見つめてどうしたんだ?」

先程苦いものを飲んだ口から出るのは優しげな声

「私の原点について〜」

「お前、自分が人間であることも忘れたのか?」

「ひどっ!私そこまでバカじゃないよっ?!」

「くくく・・・」

喉を震わせて笑うローはとっても楽しそうだ

そのローはむくれっ面で見てたら手招きされた

その指示に従って近づけば腕をひかれて、スッポリと腕の中に閉じ込められた

首筋に顔を埋められてくすぐったい

「ロー、くすぐったい」

「ふ〜ん、それ以外は?」

「・・・・もっとぎゅってして」

「くくく、はいはい」

な〜んて言いながらほんとはローの方がもっと抱きしめたいんでしょ、という言葉は喉の奥に閉じ込めた

私もローのように首筋に顔を埋めて、目一杯に息を吸った

肺に一杯のローの匂いが充満して吐き出すのが勿体ない

全部全部閉じ込めれればいいのに

「ローの匂いで肺が一杯」

「腹に入るんじゃねぇのか?」

「うん、誰が消化させるか」

「くくく、じゃあ俺はそうだなぁ・・・」

「?」

「腕の中に閉じ込めておくか」


香水よりもその容器を


「私を?」

「そうだ、お前を」

「へへ、それじゃあ匂い関係無いじゃん」

「そうか?俺の腕の中にいつだってお気に入りがあるんだぞ」

「う〜ん、確かに」

「しかも俺の匂いを少しうつす事も出来る」

「わぁお、便利なうえに一石二鳥?」

「ああ、だが俺はお前さえいればいいがな」

「・・・・大好きぃ」

「くくく、俺も大好きだ」

END
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