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□よん
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「通り・・・・。」

ペラッ・・・・。

私がそう呟いても、ローは何一つ反応しない。

ただ、自分の目の前にある本に没頭して私の事なんてどうでもいいみたいだ。

いつもなら私はムスッとしたままローの本を取り上げていただろう。

そう、『いつもなら』。

私はローがいつもやるみたいに唇の端をあげて笑う。

「生。」

ねぇ、ロー。

ローはいつ気づくんだろうね。

ペラッ・・・・。

いつもはイラだつ本のページをめくる音も、今は心地良く感じてしまう。

「低い。」

ねぇ、ローは頭がいいけど・・・・この賭けは絶対に私の勝ちだね。

「法律。」

ローがこの『意味』に気付いたら、ローの勝ち。

「列。」

ローがこの『意味』に気付かなかったら、私の勝ち。

私の中の勝手な賭け。

パタンッ・・・・。

ふいに聞こえた本を閉じる音に驚いて目を開け、正面に顔を向ける。

すると、いつの間にか机に肘をついてその上に顔を乗っけるローと目があった。

ローの口元には私がさっきしていたような・・・・いつもローがしている笑みが作られていた。

「そんなに俺の名を呼んでどうしたんだ?」


結局彼の一人勝ち


「・・・・・気づいてた・・・・の?いつから?」

「最初からに決まってるだろ。で、賭けに勝ったご褒美は?」

「・・・・・そこまで気づかなくてもいい。」

「そんなのはどうでもいいだろう?」

「せっかく勝てると思ったのに・・・。」

「残念、お前は俺に一生勝てねぇよ。」

そう言うローがすごく憎たらしいけど、それはきっと真実だから。

・・・・・仕方ないから、今回も負けてあげる。

そして彼の唇に最高のご褒美を落とそうか。

END

(通りRow 生Raw 低いLaw 法律Law 列Row)
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