ペンギンブック

□独り占めしたい今日この頃
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「ねぇ、ペンギン」

「なんだ?」

昼休み、屋上で寝転がっていれば隣で寝転んでいたセレナが唐突に俺の名を呼ぶ

セレナの方を向くが、セレナは俺をその目にうつさない

気分がスカッとなる程までに雲一つなく真っ青な空を一心に見つめているのだ

「なんか一人みたい」

「・・・は?」

何が一人なんだ?

俺はこんなにも近くにいるのに、何故だ・・・?

「真っ青な空見てるとさ、世界に自分だけ
しかいないような錯覚おこしたりしない?」

「ん・・・・まぁ、確かにそうだな」

ただ青しかない空を見上げれば確かに、何もないような気がしてくる

とても変な気分だ

だがそれがどうした?

俺はそれでも彼女の隣にいるのだ

「そしたらさぁ・・・」

目を一度閉じて笑顔でこう言うのだ

「ペンギンが隣にちゃあああああんといるか心配になっちゃった」

「っ!」

そう言って尚俺をみない彼女に、少し安堵してしまった

今の顔を見られていなかった事に対してだぞ

「ペンギンちゃんと隣にいるね」

「ああ」

「あ、でもボイスレコーダーだったりして」

「いや、無理があるだろう」

「分かんないよ?ペンギンなら出来そう」

「・・・それは喜んでいいのか自分に幻滅すればいいのかどっちだ」

「う〜ん・・・私的には後者であってほしいなぁ」

それでも尚ニコニコと笑う彼女

また変な気分になってくる

「セレナはなんでそんなに笑ってるんだ?」

「ん?」

「さっきからずっとそんな嬉しそうにしているからな、少し気になって」

「あ〜・・なるほど〜!」

俺を見ないその瞳はまだ空をうつす

「だってさ〜ペンギンがこんなくだらない話にずっと付き合ってくれるんだよ?嬉しいことこのうえないでしょ!」

満面の笑みも横からしか見えないのなら眩しさも半減だ

・・・・いや、それでも尚眩しいか

だがなぁ、その瞳にそろそろ俺をうつしてもいいんじゃないかというのも思う訳だ

むしろ本音だ

「?ぺんg・・・・!?」

不思議に思ったであろうセレナの上に少し野蛮だが馬乗りになる

まぁ恋人同士な訳だから問題はないか

驚き目を見張るセレナに俺は一言、こう言う

「そろそろ俺にも構ってくれないか?」


独り占めしたい今日この頃


「・・・・ふふふ」

「ん?どうした?」

「ううん、ごねんね。ペンギン」

「いや、待つのは慣れているさ」

「う〜ん・・・それでもごめんなさい。いっぱい話してくれたから今度はペンギンの番ね?」

「俺の番・・・か?」

「うん!次はペンギンの好きな事する番!」

「くく、そうか。じゃあ・・・」

「ん?何?何?」

「まず手始めにキス、していいか?」

「え!・・・う・・・あ・・・うんっ」

END
 

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