ペンギンブック

□優先順位は不動の1位
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「う〜ん・・・・」

放課後の図書室で優雅に読書

・・・・・・ではなく勉強する私

全くもって理解不能な文字が並べられる教科書と睨めっこしたところで負けるのがオチな事は分かっている

そして負ければ正面の人間に助けを求めるのが最後のオチだ

「ペンギ〜ン!」

「また分からないのか?」

苦笑しながら机に突っ伏す私を見る彼、ペンギンは私の彼氏

なんでこんな私みたいなのと付き合っているのかと不思議に思うほどかっこよくて頭もよくて・・・とにかく完璧な人だ

もう本当に勿体無い位だけど絶対に誰にもあげない

私の人生・・・いや、来世までの全ての運を使い果たしたのだから

「全くもって全てギリシャ文字・・・・・」

「そんなにか?」

「うん」

「とりあえず起き上がれ、問題が見えないだろ?」

「ん〜」

と言いつつ私は全くもって起き上がる気がない

だって勉強疲れた〜

うう〜、勉強なぞなんでこの世に存在するんだ

将来必要になるのは分かってるんだけど、ほらこうもなんか・・・やる気が・・・・

「疲れたのか?」

優しく私の頭を撫でだすペンギン

その手が気持ちよくて私は目を細めて頷く

「じゃあ、今日はこれ位にするか」

「うん、ごめんね?」

勉強を教えてと言ってペンギンを巻き込んだのは私なのに、こんなに短時間で終わらせてしまって

ペンギンにも都合があっただろうに・・・・

あ、今自分自身に嫌気がさした

「?なんで謝るんだ?」

「だって・・・・ペンギン、今日用事あったでしょ?」

「別にないが?」

「嘘だ。私が頼んだ時考えてたし、シャチ君になんか言ってたし」

「・・・・・」

「・・・・・・」

真っ直ぐにペンギンに見られてなんだか変に居たたまれなくなってそっぽを向く

「・・・・俺は」

おもむろに口を開くペンギン

私は少し反応したが顔は向けない

「好きでセレナと一緒にいるんだ」

「・・・・うん」

その言葉が嬉しくて少し顔がニヤけた

それがバレないように口元とを服の袖で隠す

「だから、誘われた時嬉しかった」

「うん・・・・・でも用事があった事は否定しないんだ」

「・・・・・」

黙り込むペンギンにまた申し訳なくなった

「確かに用事はあった。でもそれはどうでもいい事だった・・・・いや、どうでもよくなったと言う方が正しいのかもしれないな」

「?」

私は顔をペンギンの方に向ける

「シャチ達と一緒にいるより、セレナと一緒にいられる事の方が俺には大事だからな」

「っつ!」


優先順位は不動の1位


「なっ、うっ・・・・〜〜〜〜〜〜!!!!」

真っ赤になった顔を隠すように顔を伏せる

ああ、もうなんでペンギンはこうも私を喜ばせるんだろう?

ペンギンにそのつもりがなくても、だ

少し顔を上げれば優しい、けれどほんの少しイジワルな顔をしたペンギンと目があった

「・・・・・ペンギン大好き」

「俺も、セレナが好きだ」

また優しく私の頭を撫でるペンギンに少し困ったような顔をした後、精一杯の笑顔で見上げた

そうすればペンギンも同じように笑ってくれた

END
 

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