ペンギンブック

□雫は全て奪われた
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夜は怖い

夜の月の無い海はもっと

真っ暗で、自分の立っている場所でさえ曖昧になる

誰もいない、そんな感覚になる

星の光はあまりにも頼りなさすぎる

「セレナ、何してるんだ?」

後ろから聞こえたのはいつも優しいあの人の声

「・・・・セレナ?」

コツ・・・コツ・・・・と少しずつ後ろから近づいてくる

私の肩に手をかけ、優しく振り向かせる

「・・・・また、泣いていたのか」

私の顔を見て苦笑いする

もうこんな事何度もやってるからね

何度もやってるけど、彼はかならず来てくれる

「ペンギン・・・・仕方ないでしょ?だって夜が好きなんだもん」

「だからって毎回泣かれると俺もどうしたらいいのか分からなくなるんだ」

私の頬を流れる雫を一つ一つ丁寧に拭っていく

「・・・・・ごめんなさい」

「謝ることじゃない」

ペンギンはいつだって優しい

優しすぎるんだ・・・・
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