バクマン。

□出会い
1ページ/2ページ

ピロリロリン〜、ピロリロリン〜
この一本の電話から、彼と私の物語が始まろうとしていた

「編集長、少しお話が…」
「何だ、雄二郎」
「実は、新妻くんの事なんですけど。彼、生活力が全くなくて…」
「それで?」
「それで、家政婦さんを雇いたいんですけど、なかなかいい人が見つからなくて…」
「なるほど…、分かった。私が何とかしよう」
「えぇっ!?本当ですか!!」
「あぁ」
「やれやれ、さすがに高卒じゃあ雇ってくれないかぁ…」

不採用通知を見ながら、あたしはため息をついた

「仕方ない、次の仕事探そう」

不採用通知をクシャっと握り、立ち上がった時だったピロリロリン〜、ピロリロリン〜

「うん?」
(こんな昼間に電話?)
「はい!こんな時間にどうしたの?」
「…」
「はぁー!?今すぐ!!」

ピッ
(ふざけるな!すぐにこいって、何考えてんのあの人!)
あたしは、急いで階段をかけ降り

「お母さん、ちょっと出て来る!」
「奈緒!どこに行くの!!」
「遊栄社!!」




バタン!
ドアの開く音で一気に、注目を集めてしまった
しかし、今のあたしにはどうでもよかった
あたしは、一番奥に堂々と座る男を目指して、ずかずかとオフィスに入った

「遊英社の警備、もっとちゃんとした方がいいんじゃない?」
「奈緒、ちゃんとフロントを通してから来なさい」
「すぐにこいって言ったのはお父さんでしょ!」
「「「えっー!?」」」

オフィスに居た全員が驚いていた
驚くのも無理はない
意気なり、見知らぬ人間がづかづかとオフィスに入り、しかもその人間が編集長の娘なら、尚更だ

「やれやれ」
「で、何であたしを呼んだの?」
「あぁ、奈緒、お前家事全般出来るよな?」
「まぁ、人並み程度には…」
「なら、決まりだ。雄二郎、新妻くんの家政婦は奈緒にやって貰おう」
「いいんですか!?」
「構わん」
「ちょっと待って!あたしはやる何て一言も言ってない!」
「どうせ、就職先なんか決まって無いんだろ?」
「うぅ…」

これには、返す言葉がない

「で、でも、だからってお父さんが勝手にあたしの就職先、決めないでよ!」
「悪いか?」

お父さんは一度決めた事は変えない、頑固な性格だ
今さらあたしが何か言った所で、考えは変わらないだろう

「どうするんだ?」
「あー、もおー、分かった!やるわよ、やればいいんでしよ!」
「決まりだな」
「はぁ…」


こうして、彼と私の物語が始まりはじめてた
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ