アルファルド
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刃先を向けたまま梨乃は橘を睨みつける。
『あの合成獣を元の姿に戻しなさい』
刃先を向けられているにも関わらず、表情ひとつ変えない橘。
「それは不可能だ。一度合成したものは簡単には元に戻せない」
そういうと橘は懐からある物を取り出し地面へ叩きつけた。
それと同時に白煙が辺りを包む。
『ケホッ、何』
「ハハハ!また会おう!」
視界が奪われたまま、橘の声だけが耳に届く。
白煙が消え、辺りが開けたと同時に、橘の姿も消えていた。
『…とりあえず、皆のところへ』
梨乃は合成獣と真選組の元へと向かった。
「梨乃さん、その髪…!」
近藤は梨乃の姿に驚愕する。
『ごめん、近藤さん。橘を逃がした』
梨乃は髪の事など、気にする様子もなく近藤に言った。
そうしている内に、土方も山崎に支えられながら近藤達の元へ辿りついた。
「トシ!大丈夫か!?」
「あァ、すまねェ近藤さん」
「いいから、お前は下がってろ!こいつは俺達が何とかする!」
近藤はそう言うと合成獣へと視線を戻した。
グルルと唸り声をあげる合成獣。
『…近藤さん、この人はもう元には戻れない』
「…そうか」
近藤は悲哀を込めた眼差しで合成獣を見つめた。