アルファルド
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『神隠し…?』
日頃聞きなれない言葉に梨乃は聞き返す。
「あァ…最近ここら辺でそんな噂があるそうだ。まぁ実際にここ一週間で5人行方不明者が出ている」
近藤は真剣な表情を向ける。
「ある目撃者の証言によると…
その目撃者は酒を飲んだ帰り道、自宅に向かって一人、人通りの少ない道を歩いていたところ前方に自分と同じく酔っ払いの姿が見えたそうだ。
特に気にすることなくふらつきながらも帰り道を歩いていたら急に目の前にいた人が、路地から出てきた“黒く大きな手のようなもの”によって引き込まれ悲鳴が聞こえた、と。
目撃者はそのまま元来た道を走って逃げてきたそうだ」
『“黒く大きな手のようなもの”…』
「天人の仕業じゃねェのか?」
その話を聞いて土方が口を開いた。
「いや、天人だとしたら入国審査の時に危険分子として引っかかるはずだ…
これ以上被害を増やさない為にも調べる必要があるな」
『調べるって…どうやって?』
梨乃の疑問に近藤はピクリと眉を上げた。
「それは…
どうしよう、トシ」
「はァ…そんなこったろうと思ったよ」
目を伏せ頭を抱える土方だった。
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