アルファルド
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いつものように部屋で書類整理をしいている時の事。
「お前、そろそろ自分の刀買ったらどうだ」
『…いらない』
「は?何でだよ」
『重たそうだから』
梨乃が真選組に入隊して4ヵ月。
刀を持たない梨乃を見かねて言った土方の言葉に返ってきた返事。
「重たそうって、お前…」
呆れてものも言えない土方。
『だいたい、あたしはあんた達と違って4ヵ月前まで武術も剣術も知らなかった一般人よ?そんな奴に刀持てって方がおかしいでしょ。
それに、あたしは運転が専門だし』
「じゃあ高杉どう捕まえんだよ。お前ェが生かしたんだからお前ェが仕留めんだろ。
くだらねェ事言ってねェで行くぞ」
土方は立ち上がり自室の戸を開けた。
『は?どこによ』
「鍛冶屋に決まってんだろ」
こうして半ば強引に梨乃を連れ出し鍛冶屋へと向かった。
鍛冶屋―――
「いらっしゃいませ、土方様。今日はどのようなものをお探しですか?」
「いや、今日はコイツの刀を見に来たんだ」
土方はそう言い、後ろに立つ梨乃に親指を向ける。
「そうでしたか。お気になされるものがありましたら手に取ってご覧くださいませ」
『…どうも』
そう言って辺りを見渡す梨乃。
ここは江戸で一番の鍛冶屋。様々な刀が所狭しと並べられている。
梨乃は近くに置いてある小刀を手にした。
『これで良い』
「馬鹿か、お前は。面倒臭がんじゃねェよ」
『だって、何が良くて悪いのか全く分からないもの。これなら持ち運び便利だし』
「良いから適当に見てみろよ。こんだけありゃあ1本くらい気に入るのがあるだろうよ」
梨乃は渋々小刀を元の位置に戻し、再び店内を見渡した。