アルファルド
□03
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『…意味分かんない』
ムスッとした表情でパトカーの運転席に乗る梨乃。
着物では動きにくいため、つなぎに着替えた。
「雇ってやんだから、文句言うな」
そう言いながら土方は助手席に乗りシートベルトをする。
そうしているうちに無線が入る。
≪只今天人が乗ったバイクはかぶき町内を逃走中!かぶき町付近のパトカーは応援を頼む!≫
「準備、良いか」
『いつでも』
「よし、出動」
合図と共に梨乃はアクセルを踏み込み、急発進した。
一方、かぶき町内では過激なカーレースが行われていた。
「ギャハハハ!!遅ェ、遅ェぞ!地球にはもっと骨のあるやつはいねェのかァ!?」
高笑いをしているライオンのような風貌の天人。
ハンドルを握っている手は、ハンドルと同化していた。
天人が交差点に差し掛かろうとしたとき、梨乃が運転する車が右から出てきた。
天人は急ブレーキをしてハンドルを切る。
「見つけたぞ!追え!」
『言われなくても分かってる』
梨乃もハンドルを切り天人の後ろについた。
「何台来ようが無駄だァ!!ヒャッホウ!!」
天人はまた来た道を引き換えし逃走する。
梨乃はギアチェンジし、スピードを上げた。
何度も右折、左折を繰り返す天人に顔色一つ変えずに着いていく梨乃。
距離は徐々に縮まっていく。
そしてついに天人が運転するバイクの右につき、思い切りハンドルを切った。
「グワッ!!」
パトカーの車体が、天人の運転するバイクに大きな衝撃を与えバイク諸共横転、停車した。
パトカーを止め、降りた土方は天人に駆け寄り手錠をかけた。
「密入国及び危険運転過失致死の容疑で逮捕だ」
「チッ…!」
土方のあとに梨乃もパトカーを降りてきた。
「…ハッ、どんな奴が俺を追い詰めたのかと思えば人間の女かよ」
『…あのスピードであたしに勝てると思ってんの?』
土方は天人をパトカーに乗せ、再び発進した。
「いや〜、お手柄だったな!なんでもあの天人は自分の国でも指名手配犯だったそうだ」
そう言って近藤は豪快に笑う。
『そんなことより、仕事の件は?』
向かい合った梨乃は冷静に問う。
「そのことだが…
実は考えたんだが、あなたを女中にしておくのは勿体無い!
よって本日より、真選組警ら隊隊長に任命する!」