現代

□酒より酔う
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「三成ー今日は何の日だか知ってるか?」

「……知らん」





明日は休日だからと無理矢理部屋へ上がり込んできた家康は、
片手にコンビニの袋を下げてきた。

もちろん中身は酒


たしかコイツは酒に強かったな、と呆れながらも部屋に上がるのを許したが、
堂々と人のベッドの上でビールを開ける家康に一瞬殺意が芽生えた。




「…貴様そこで飲むな!今すぐ下りろ!」

「いいじゃないか三成、今日はなー七夕らしいぞ」

「七夕?」



そういえば今日は7日だったな
家康に言われるまでそんなこと頭になかった。

…だから何だ

眉をしかめながらも、三成も袋からチューハイを出した


決して酒には強いと言えないが、買ってきたのは家康だ
構うもんかと思い腰を下ろした




「懐かしいよなぁ…昔は短冊に願いを書いたりしたな」

「……あぁ」

「…え?してたのか!?」

「私がしていたら可笑しいか!!」



さも意外そうに驚いた家康に、思わず缶を投げつけたくなったが、どうにかグッと抑えた


もしここが家康の部屋だったなら良かったが、
生憎ここは自分の部屋。
投げたりしたらベッドが酒で濡れてしまう



「…いや、なんか三成にもそんな可愛い時期があったたんだな!」


ククッと笑いを堪える家康に笑うな!と一喝


「半兵衛が共にやろうとおっしゃって下さっていたからだ、それに昔の話だ!」


言い伝えなどを信じていたわけではない!と言うも自分の顔が赤くなっていくのが分かった

昔は「早く刑部の身体が良くなるように」などを書いて
半兵衛に優しいね、と頭を撫でられた記憶がある


「かわいいなぁ三成……ぶふっ」

「黙れ!」



ムキになってもこの男には逆効果だとわかってはいたが。


「三成」

「……何だ」

「儂は一年で一度しか三成に会えないのは嫌だなぁ」

「ほぼ毎日会いに来ているような奴が何を言っている」



柄にもなく真剣な顔をして言う家康に怪訝な顔をすると、家康はじっと三成をみつめた


こういう顔をするときの家康は大体よからぬことを考えている時だ。



「……しないぞ」

「な、何でだ!?」

「きさっ…それしか頭にないのか!」

「だって儂三成とセック「言うな阿呆!!」


えぇー…などとふざけたことを抜かす家康についカッとなって缶を投げてしまった



「あ」



気付いたもの既に時遅く
中身はまだ開けたも同然のチューハイは
ガンッと鈍い音を立てて家康の頭に命中した



「くっ…痛い、ぞ、三成ぃ…」



痛みに悶える家康など目もくれず
コポコポとベッドのシーツに染み込んでいく酒を見て、あああぁぁああ!!と叫んだ



「貴様ァァアアア!!」

「いや…今のは儂のせいじゃないだろ三成……」

「死ね家康!今すぐ死ね!!」


慌てて缶を拾うも、ベッドはご臨終。ご愁傷様だった。

チッと舌打ちをしてタオルを取りに行こうと立ち上がると、
いきなりぐいっと引っ張られた。







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