現代

□保健室の悪魔
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俺、片倉小十朗は今保健室に居る。


数分前、政宗様と真田の
仲が良いのか悪いのかわからぬじゃれ合い(にしては激しすぎるが)に巻き込まれたからだ。


巻き込まれた、と言うのは些か大げさかもしれないが。


「おやおや…血がこんなに……」


問題はコイツだ。



飛んできた小石がたまたま瞼の上をかすり、深くはないが思った以上に血が出てしまった。


その上、涙目になりながら必死に保健室へと急かす政宗様と真田につい折れてしまったからでもある。



実の所この程度の傷
痛くも痒くもないのだが 



「顔を近づけるんじゃねぇ…!!」


「おかしな事を言いますねぇ…近づかなければ治療ができません」




保健医である明智の吐息が耳元にかかり、言うまでもなく鳥肌が立った





帰ろうにも帰れない

ここで治療を受けずに戻ったりしてみろ、
また余計な心配をさせてしまう。



「竜の右目も存外、美味しそうで涎が垂れそうですよ」



いくら政宗様達に心配をかけさせたくないとはいえ、


「我慢の…限界だ!!」


「おやおや、まだ治療は終わっていませんよ?」



もうこの際どうでもいい
早くここを出て軽い処置なら猿飛にでも頼もう、そうしよう


貞操の危機を感じるのだ
それもネットリと……



「さぁ私によくその顔を見せて下さい…!!」

「離っ!」


さらば俺の貞操。


最悪の事態を想定し、
諦めてぐっと目を閉じたのと同時に

ガラッとドアが開いた



「右目の旦那ぁ?怪我したって聞いたんだけど……えっと…え?」


「さ、猿飛ィイイ!」


「おや、邪魔が」



腕を掴まれ動けずにいる小十朗と、やけに顔が近い光秀を見て佐助はドアに手をかけたまま固まった。



「こ、れは誤解だ!」

「お邪魔しました」 




何を悟ったのか佐助は静かにドアを閉めた。
その瞬間、もう終わったと小十朗は真っ青になり諦めたように少し泣き笑いした。







end

あとがき

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