短編

□不器用なくらいが
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襖を開けると、世にも奇妙な光景が広がっていた。

何故か「石田殿!観念なされよ!」と、三成にだんごを食わせようとしている幸村と、明らかに嫌がって逃げようとしている三成。

そしてそんな三成を後ろから捕まえて、「はいはい暴れないの」とガッチリ確保している佐助。



「ぎょっ刑部…!!良かった……早く助けろ!」

「ダメでござるよ!さぁ石田殿、早く口を!」

「こ、ここ断る!!」

「もー…諦めなってぇ」




……はて、これは一体。

今いち状況が掴めず、呆然とそれを眺めていた刑部は、とりあえず「やめぬか」と二人を宥めて三成を解放させた。

すると佐助の腕から逃れた三成は、刑部の背に逃げるようにサッと隠れた。

ギュッと背を握る三成を見れば、うっすら涙目になっている。


いくら三成とはいえ、忍である佐助の力に敵わなかったのだろう、



「一応聞くがぬしら三成に何をしておる」



別に(だんご片手に)やましい事をしようとしていたわけではないだろうが。
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