短編
□不器用なくらいが
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「聞いてくだされ大谷殿!!」
「……しかと聞く故、もうちと声を小さくしてはくれぬか」
元々声量が大きいからか、どうも幸村の声は耳に響く。
自分の背で毛を逆立てている猫と化しているみ三成に、優しく離れぬか、と言いながら幸村を諌めると、
これは失礼した!と先程より声量を落とした幸村は、ばっと座り直した。
…こういう所はしっかりしているというか。
三成というと、全く離れる気はないようだが
「大谷殿…実は先日、石田殿は食事をまともに摂っておらぬと聞き申した」
「たしかに三成は異常に食が細いが」
「食事を摂らねば元気は出ぬ…石田殿の顔色が悪いのはそれ故と思った次第」
「んでうちの旦那がもっと栄養つけろってね」
「要らん世話だ!」
たしかに三成の偏食ぶりは、以前から悩みの種であったが。
……何故だんご?
まぁこれでも真田なりに考えたのであろう。
結論は見るからに単純ではあるが。