短編
□愛と哀
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「其方と石田は恋仲であったと思っていたが」
「ヒヒッ、三成は友よ友、恋慕の類など持ち合わせておらぬ故」
「それが真であれば良いが」
「ぬしに偽る理由など、今更なかろ」
「本当に愉快な男よ……大谷」
くくっと喉の奥で笑いながら刑部の頬に指を滑らす毛利を見た瞬間、
身体が動かなくなった。
これ以上見てはいけない、と頭の中がガンガンと響く
目を逸らそうとするも、
恋人同士の睦み合いにも見えるそれに
どうしても目が離せなかった
……心地よさ気に細められた刑部の瞳が、とても穏やかだったから
愛と哀。
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