短編
□愛と哀
2ページ/8ページ
「…ッ、うぅっ……」
涙が、止まらない
何とかとめようと息を呑むも、嗚咽がただひどくなるだけだ。
こんな惨めな姿、
誰にも見せられない
声だけは、と袖を噛んだ
織田が滅び、ようやく豊臣の天下が成せれようとしている中
崇拝してならない秀吉様と敬愛する半兵衛様
そしてずっと共に肩を並べていた刑部。
「友…だと……」
先程の言葉が耳から離れない
……好きだったのだ刑部のことが
しかし刑部は己をただの友だと言った
つまり、友情がそこにはあっても愛情はないと、
私…は………
普段泣くことが少ないからか
涙が堰を切ったように溢れ出す己の涙が、とても恨めしく思った。
とにかく早く自室戻ろうと、長い廊下を足早に曲がった時、
「っと、三成か…って泣いているのか!?」
今1番会いたくない男にぶつかった。
→