短編

□焦がれたモノ
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何が怒ったのか分かっていないのか、
うろたえる三成を逃げないようにつよく抱きしめた



「な、ななな何を!」



こんなに動揺する三成を見るのは珍しい



「……小生はなお前さんの事、嫌いってわけじゃない」

「は?」


いきなり口から出た言葉に自分でも驚きながら続けた

「いや…むしろ好いているのかもな」

「いっいきなり何を言う!!気色の悪いっ…」


その気の強い所も
白い肌も
銀色に輝く柔らかな髪も


「小生だって人間なんだ、働く前に何かしら貰わねば動く気もしんね」

「ふざけるのも大概にしろ!!」



いい加減放せ、と暴れようとする手を強く握りながら官兵衛は続ける



「お前さんの為に働く、見返りは三成、それでいい」
「私?」


理解できていないのか、
三成はキョトンとした目をした

その様子に軽くゾクリとしながら平然を装う


そうでもしないと、いついつもの調子で
三成に立場を逆転されるか分かったもんじゃない

その上今はあの刑部もいない
つまりチャンス。


「早い話、ヤらせろってこった」


ここまで言っても本当に理解できないらしい

…ならば直接行動すればよいだけのこと


「な、ん……ッ!!」


半ば強引に三成の唇を奪うと、
そのまま軽く啄むように遊んでは離し
また口づける。


突然の事に声も出ないのか
ビクッと固まってしまった三成を
押さえ込むようにしてそのまま押し倒した






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