頂きもの

□好敵手の甘い戯れ
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鳥の囀りが聞こえる中、
ある城ではいつも通り殴り合い(?)が行われていた。


「幸村ぁぁあああああ!!」

「お館さばぁぁぁあああ!!」



この二人が殴り合うだけで、衝撃波が出る。

それにより周りの物、地面などに深い傷跡が残る。

そんな事は気にもせず二人の世界に入っていた。



「うお館様ぁぁあああああ!!!!」

「幸村ぁぁあああああああ!!!!」



「……おいおい、旦那もお館様もいい加減やめてくんないと、城ホントに無くなっちまうぜ?」




呆れながら木の上から見下ろす男――佐助が、胸元の開いた赤い服を身に纏った男、真田幸村と

『甲斐の虎』と呼ばれる男、武田信玄に声を掛けてみる。


……しかし聞こえるはずもないので佐助はある行動にでた



「…全く、世話かけるなら給料上げてほしいもんだよ」


一言ぼやいた後、一瞬にしてその場から姿が見えなくなり、殴り合っている二人の間に現れた



「……ちょっと二人ともやめ………ぐはぁぁあっ!!」


そう言っている間に、左右からきた拳に殴り飛ばされすごいスピードで飛ぶ。

すると、二人はきょとんとした顔で佐助の方に目をやった


「……佐助!いきなり割り込んでくるとはどのような考えでの行動か!」


「そうだぞ佐助よ!もっと自分を大切にせよ!」



(何それ…ってかあんた達に言われたくないんですけどぉぉお!!)


そんな気持ちを押さえ込みながら、ゆっくりと立ち上がる

流石にこの二人の間に入るのは無謀だった…、と過去の自分に呆れモード。



「全くよぉー、城も俺様もボロボロじゃないのー。殴り合うならもっと広い所でやってよね」



殴られた所を摩りながら二人に指摘する



「…たしかに。今回はやり過ぎたやもしれぬ、すまなかったな佐助」


「分かってくれれば良いって事よ」



(いや……今回はって。今回だけじゃないでしょーお館様ー。)



「それより佐助、傷は大丈夫なのか?某が手当するでござるよ」


「……や、大丈夫だって旦那。俺様これでも忍なんだからさ」


(むしろ旦那がやると息も止まっちまうかもしれないし……)



「…んじゃ、手当してくるんで」

「済まなかった佐助!」

「良いって!」



そう言い残すと、佐助は木の葉を残してその場を去った。







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