空に浮かぶメロディー
□Nine
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タイトルがすでに音楽単語を使ってない今日この頃。
『……どうですか?』
ト「そうですね……流行のものでも取り入れましょうか」
『もってないです』
ト「それより、部屋を片付けましょうか。それから出掛けましょう」
『……すみません』
一度は片付けたはずの楽譜が再び散乱していた。
もはやゴミ屋敷。その中で先ほど起きた私は全力で服を着替え、玄関で待たせていた一ノ瀬さんを部屋へ招いた。
まだ直りきっていない寝癖とリビングを執拗に隠したがる私を見てすべて理解したのか、服を話題にリビングに入って来た。
それでこのゴミ屋敷を見られて恥ずかしがりながらも自分の怠惰さに落ち込んでいたのだ。
ト「ゴミ屋敷、は適切な表現ではありませんでしたね。この楽譜たちは貴方が書いたものですか?」
『はい……すみません、汚くて』
ト「いえ、ですからゴミではありませんので」
『と言いますと?』
ト「これらは貴方が努力をして書いたものですから、ゴミではありません。寧ろこの寮に来てから一週間と少ししか経っていないのにここまで散らかせられるなんて、すごいことで……」
−バサバサバサッ
『あ……』
襖に挟まっていた楽譜を取ろうと一ノ瀬さんが襖を開けたところ、一気に楽譜が雪崩落ちてきた。
埋もれてしまった一ノ瀬さんに手を伸ばす。
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