空に浮かぶメロディー
□Five
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『……四ノ宮さん?』
「………」
どうしてこうなったのだろうか?
背中にソファ、目の前には天井と四ノ宮さんの顔。
その四ノ宮さんにはいつもの眼鏡がかかっていなかった。その眼鏡は少し遠くの机の上。
『あの、四ノ宮さん、』
「うるせぇ」
『………』
いつものフワフワとしていて優しい雰囲気の四ノ宮さんはもういなかった。
今日のデートは四ノ宮さんとだった。
四ノ宮さんと出かけるため部屋にお邪魔した時、来栖さんが一十木さんと一緒に校庭にサッカーをしに行くことになったらしい。
それを聞いた四ノ宮さんが行きたいと駄々をこね、強引に私を連れて校庭に来た。
しかし、今日は暑かった。
途中から二人と別れ、四ノ宮さんと涼を求め保健室へ。
保健医はおらず、二人でソファに座った。
土埃のついた眼鏡を見て率直な感想を述べた。
『四ノ宮さん、眼鏡汚れてますよ?』
那「そうですかぁ?」
そう答えつつも眼鏡を外した刹那、
―カシャン
『……え?』
ドサッ
「………」
眼鏡を投げ捨てた四ノ宮さんが私を押し倒し、上に被さった。
そして冒頭へ戻る。
いきなり変わってしまった四ノ宮さんとその行動に、目をパチクリとすることしか出来ない。
身長の高い四ノ宮さんに覆いかぶさられただけで、凄まじい威圧感が襲うというのに、深い声色に余計萎縮してしまう。
四ノ宮さんは口の端をくっと吊り上げ、不自然に笑った。
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