空に浮かぶメロディー
□One
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―――――。。。
「はぁ〜い、YOUがMs.秋桜ですね〜」
『は、はい。あの……』
「YOUの曲はすばらすぃーいとでしたので、思わず来てしまいました〜」
この方、早乙女学園園長らしい。(一ノ瀬さんから聞いた)
会館のような場所で入学式を終えた私達だったが、私は居残りさせられていた。
理由は先ほど言ったことでらしい。
「そんでもってぇ、YOUに頼みたいことがあるんで〜す」
『頼み?』
「はぁ〜い、YOUの潜在能力はまだまだ引き出されていなぁい。そこで、特例をだしま〜す」
早乙女さんのなんとも馴染みのない喋り方に圧倒される。
「AクラスとSクラス、両方入ってもらいま〜す」
『……え!?』
この一言で気絶しそうだった。
「一ヶ月ごとにAクラスとSクラスを行き来してもらいま〜す」
ルンルンとしながら話す学園長は、講堂の上でクルクルと踊っている。
だから私が合格したときに何クラスか書いてなかったんだ。
でも私には重要なことが起きている。
『私……もう、曲を作れないかもしれないんです』
「ムムム〜、どーいうことですか〜」
『……音楽が好きなのに、どうにもできないんです』
ゆっくりとステージに上がると、学園長の前に立つ。
『怖いんです。音楽が』
どうして音楽が怖いのかなんて、学園長にはどうでもいいことだろう。
でも、音楽が好きということだけは伝えたかった。
ピアノに歩み寄っていくと、人差し指をドの鍵盤に置く。
誰が見てもわかるぐらい、ガタガタと震えていた。いくら押そうとしても指が言うことを聞かない。触れることさえ拒んでいる。
学園長は見えないサングラスの奥をキラリと光らせた。
「……お前には、本当に特別な措置がいるな」
『え?』
学園長の口調がいきなり変わった。
じっとサングラスを見つめると、いつもの表情に戻り、飄々とした雰囲気を纏う。
「ならばっ、Aクラスの、Mr.一十木、Mr.聖川、Mr.四ノ宮。そしてSクラスの、Mr.一ノ瀬、Mr.神宮寺、Mr.来栖。この六人とYOU、そして、何人かを助っ人として用意しましょーう!」
『え?』
私とあの彼らが仲良くしていたから、とのことでの決定らしい。
今日初めて逢った人達なのに大丈夫なのだろうか。
「お前の曲を手放すのはヒジョーに惜しい。……SO、ベリベリ頑張っちゃってくださーい!」
学園長は「ではでは〜」と言いながら、床を抜いて何処かへいってしまった。
残された私はポカーンである。
AクラスとSクラス両方にいって挨拶してきなさーい。そして、ミーのことは、シャイニーと呼ぶがよろし!!という声が聞こえて、話は終わった。
学園長、改めシャイニーさん。本当に謎な人である。
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