好き、と聞こえた気がして顔を上げると、窓の外の雪に釘付けになっている優姫。 なんだ、雪のことか、と再び読んでいた雑誌に目を戻す。 「で?」 「征矢は、季節、何が好き?」 「優姫」 「答えになってないし、いきなり何言い出すの。」 照れてんのか?と目だけを向けると、顔を真っ赤にして引きつった笑顔を浮かべていた。 可愛いな、と口角が上がる。 こっち来い、と言って雑誌をこたつに置いて腕を広げると、大人しく収まりに来た優姫。 よしよーしと背中を優しく叩くと、子供じゃない、と頬を抓られる。その割にはうっとりした表情だ。 「季節はあんまりどれが好き、とかないけど…」 「けど?」 「優姫が冬好きってんなら、俺も好きだ。」 そう言って頬にキスをする。いつ見ても綺麗で、透き通ってる白肌。夏だって白い。ああ、夏も夏で良いかもしれないな。 「征矢ー」 優姫は俺の胸板に顔を埋めてきた。こういうのを萌禿げるって言うんだろうか。 ほぼ毎日の様にくっついたりして、ドキドキしなくなったが、たまに心を鷲掴みされる。今みたいに。 ドキドキしないって、冷めてるわけじゃない。なんていうか、昔は恥ずかしかったとか、緊張したとか。今はもう俺の物だし、好きにしていいって夜言われるし。毎日好きにさせてもらってる。 「なぁ、」 「んー」 「寝るならベッドにしろよ。俺も一緒に寝てやるから。」 「そうしましょー」 むー、と唸りながら優姫はベッドに倒れる。そして毛布の中に潜り込む。俺は、暖房と電気を消して、ベッドに入って、優姫を抱き締めた。 「冬っていつも暗いよね」 「雪は眩しいじゃないか」 「なんでだろうね。」 「じゃあ高校卒業して大学入って、卒論でそれについて書けばいいんじゃないか?」 「ないすあいでぃあー」 「ああ。」 優姫の鼓動が心地良い。俺も眠くなって目を閉じると、もぞもぞと優姫が動いてキスされた。 「おやすみ」 だから目一杯キスを返して眠りについた。 . |