short

□冬。
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「うー、さみっ…」


外へ出れば、吐息が凍って白くなり、空へ溶ける。
深くニット帽を被り、マフラーに顔を埋め、ファッション的であって、本来の手袋としての役割を果たせていない物をはめた手を、ジャケットのポケットに突っ込む。


付き合って今年で3年。あの頃は俺も若かったな、なんて、吐息で少し凍りつつある前髪を見て思う。

(あんな髪型じゃ冬を乗り切れねぇよな。)

髪を伸ばすのにはあまり時間がかかることはなかった。まぁ伸び途中は悲惨だったけど。
髪の成長過程を一緒に(強引に)見た優姫は、一時期俺を見るたびに爆笑していた。


それにしても寒い。もしかすると俺は全裸で歩いているんじゃないかってくらい、全身がひしひしと痛みを感じている。
風を切る脚が、一番痛い。痛すぎて感覚なくなってきたかもしれねぇ。

家はそう遠くはないと思っているが、俺を気遣ってか、どうしても自分の家に呼びたくないらしい。でも今日は俺が久しぶりに優姫の家に足を運んでいる。
心配性のあいつだから、もしかすると外で待ってるかもしれない。

顔を真っ赤にして外で待っている姿を想像すると、顔が自然と綻ぶ。
同時に、早く行かねぇと風邪ひいちまう、と歩調が早くなった。


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