「うー、さみっ…」 外へ出れば、吐息が凍って白くなり、空へ溶ける。 深くニット帽を被り、マフラーに顔を埋め、ファッション的であって、本来の手袋としての役割を果たせていない物をはめた手を、ジャケットのポケットに突っ込む。 付き合って今年で3年。あの頃は俺も若かったな、なんて、吐息で少し凍りつつある前髪を見て思う。 (あんな髪型じゃ冬を乗り切れねぇよな。) 髪を伸ばすのにはあまり時間がかかることはなかった。まぁ伸び途中は悲惨だったけど。 髪の成長過程を一緒に(強引に)見た優姫は、一時期俺を見るたびに爆笑していた。 それにしても寒い。もしかすると俺は全裸で歩いているんじゃないかってくらい、全身がひしひしと痛みを感じている。 風を切る脚が、一番痛い。痛すぎて感覚なくなってきたかもしれねぇ。 家はそう遠くはないと思っているが、俺を気遣ってか、どうしても自分の家に呼びたくないらしい。でも今日は俺が久しぶりに優姫の家に足を運んでいる。 心配性のあいつだから、もしかすると外で待ってるかもしれない。 顔を真っ赤にして外で待っている姿を想像すると、顔が自然と綻ぶ。 同時に、早く行かねぇと風邪ひいちまう、と歩調が早くなった。 . |