沖縄に引っ越して初の海。都会とはだいぶ違う海の鮮やかさに目を奪われる。 隣には音村くん。 「お前さ、ずっと綱海に付き添ってきたんだろ?」 「付き添うっていうか…一緒にいただけだよ。」 「そろそろ付き合わないのか?」 「嫌ですよ。なんか縛っちゃうみたいなイメージが…ああ。」 そんなことないさ、と音村くんが空を見上げる。少しこっちを向いているのでグラサンに反射した日光が眼球を焦がしている。 「音村、眩しい」 「バレたか。」 「わざとか。」 「ああ。」 そして沈黙が漂う。 「なぁ」 「なんすか」 「綱海、サッカー始めた頃は物凄くカッコ悪かったんだぞ。」 「円堂くんに聞きました。ギャンギャンン言わされてたんでしょ。ほんの3日は。」 「なんだ。知ってたんだ。」 「まぁ。」 漣の音が心地よく響く。 「なぁ」 「なんすか?」 「付き合ってくれ」 「は?」 顔を音村くんに向けた筈が、目の前にはモサモサしたピンクの髪があった。ということはこれは綱海くん。どこ行ったあのやろう 「俺、別にお前になら束縛されてもいいかも。」 「やめといたほうがいいですよ。こんな女、どこ行くかわからないし、何するか分からない。」 「へぇ。だったら俺が、縛り付けてやろうか。」 「……」 それもよさそうですね、と笑う。 すると綱海くんは笑顔で私にキスをした。 (俺の言うことは絶対聞くこと!) (はいはい。) どうせ彼は束縛なんてできないし、私も束縛なんてできない。 . |