short

□消えてゆく
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「へぇ、負けちゃたんだ。デザーム様。」

いい加減様付は止めたら?と、自分よりワンランク下のキャプテン、グランが苦笑いをする。
デザーム様はデザーム様なの。実際私と治は同い年で、君たち一個したなんだから、敬って当然じゃない、と言うと、個人名は出さないでと泣かれた。
分かってますよ。キャラクター作りでしょ。エイリア学園に砂木沼治なんてキャプテンいたら笑っちゃうもんね。はいはいワロスワロス。

「優姫さん、全部声に出てるよ」
「ほら君だって、優姫さんって言っちゃってるじゃん。罰として焼きそばパン買ってこいよ」

そう言って一人掛けのソファーに足を組んでふんぞり返って偉そうに言うと、エイリア学園に焼きそばパンもキャラ作りも無いよ!と泣かれた。
部屋にいたバーン(南雲晴也)とガゼル(アイスブロッ君)とレーぜ(緑川リュウジ)が「あーあ、泣かせた」とぼやく。誰一人として私に敬語なんか使っちゃくれない。

ウィーンと扉が開いて、明らかに風呂上がりなデザーム様が入ってきた。
皆揃っているとは思っていなかった彼は、「んわっ、」と低い声で言って硬直した。ドアに挟まった。

「やっぱり敵わんな。」
「ですよねー。試合見てましたけどあの白いつんつんヤバかったもん」
「で、私は追放か。」

デザーム様はグランを見ながら髪をタオルで無造作に拭く

「物凄く危機感ないけど、追放だよ」
「そうか。」

デザーム様は私を見て、じゃあ引退らしいから明日一緒にお前の好きなところ回ってやると言った。グランはまた泣いた。
しまいには「皆ちゃんとやってよぉ!」なんて嘆き出したから、仕方なくグランの前では素に戻らないと残り5人で誓った。

「待てば海路の日和ありだね」
「…?(ごめん意味わかんない)」
「(日が経てば全部よくなるってことだ)」

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