short

□聞こえない
1ページ/1ページ



マネージャーとしての素質はある。(多分だけど)
なのに久遠は私だけすぐ怒る(贔屓だったりして)
ま、そんなことはどうでもよくてさ。


今まさに怒られてるし。

目の前には偉そうに腕を組んで仁王立ちする久遠。ああ、本人がいるところでは久遠なんて呼ばないよ。ちゃんと監督ってね。
今日は何怒られてるかって?
あれはやっちまったと思うよ。でも被害者私だからね。
皆でグランドの水撒きしてる時に、水の掛け合いになって鬼ごっこにヒートアップ。中学生の鬼ごっこは洒落にならない。(私もだけど。)多分100mを13秒位で走ってる位のスピードで追いかけてくる。マネージャーの中で一番運動が出来るからって皆して私を追いかける。もう怖いったらありゃしない。
しまいには私がずっこけて起き上がった瞬間に久遠に見つかる。
皆にも責任はあるのに、「マネージャーとして止めなかったお前が悪い」と一括され。就寝前、今、眠いのに呼び出されてグダグダ説教。
マジありえない。

「お前がもっとしっかりしていればだな。おい聞いてるか。」
「あれ、おっかしいな。ちょっと監督喋ってみてください」
「何?さっきからずっと喋ってるだろう」
「あーダメだ。全然聞こえない。監督、すみませんが私の耳もう寝ちゃってるみたいなんでこれで失礼します。」

頭を下げて自分の部屋に戻ろうとしたら、久遠がなんか言い始めた

「夜遅くに呼び出して悪いと思ったから、後でいいものやろうと思ったのにな」
「なんだってー!じゃあ説教してください!全部聞きます!」
「全然聞こえないな。今日はもう寝るか」
「久遠のあほー!」
「さーて部屋にもどるか。私を呼び捨てにした選手はベンチで…と。」
「ひどい!もういいもん!上等じゃ!ベンチで明王と久遠の陰口言ってやる!」


私が部屋に戻って寝ようとした途端、いきなり電気が付いて久遠が入ってきて反省するまで正座させられるのはもうちょっと後の話。




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]