「なん…です…と?」 「6日かかる恐れがある。多分、決勝戦には間に合わんだろう。」 そんなぁぁぁあああ と絶叫する。 「なんでですか!?こんなに立ち上がって移動して、走れるようになったんですよ!?まだ入院しないとなんですか!?」 「6日と言っても残り1日じゃないか。決勝戦中は病院で待機だな。」 「そんなぁ…」 がっくりと肩を落としてユニフォームを握り締めた。なんで決勝戦までこんなところにいなきゃいけないんだろう…。 早くサッカーしたい。決勝戦にも出たい。出れなくても、フィールドにいたい。 豪炎寺先生は無言で部屋を出ていった。 明日が決勝戦なのに。 私は立ち上がって部屋を出た。 院内をユニフォームを抱きしめながら走り、屋上へ向かう。今日は誰も居ない。 フェンスに手を掛けて思い切り息を吸った。 「バカァァァァァァアア!!!」 「誰が、馬鹿なんだ?」 いきなり声をかけられて、驚きながら振り向くと、久遠さんが立っていた。きっと迎えにきてくれたんだろうけど、明日もここにいなきゃならない。 「今日は退院しません。」 「延長か。」 「決勝戦にもいけません。」 遠いような、近いような距離で呟く。久遠さんの耳には届いていた。 「…絶対に勝ってくる。だからここで待ってろ。」 そう言って踵を返して屋上から去ってしまった。 残された私は、フェンスに寄りかかって座り込んだ。 (なんで。足は治ってるのに…) ふと、疑問に思った。 5日で完治することを、豪炎寺先生は確信したのにいきなり入院期間を伸ばした。 久遠さんもそれを知って何も言わない。 おかしい。 何かあるはずだ。 でも今はそんなことを考えるより、皆が心配だった。 決勝戦、絶対に勝って、世界へ行きたい。 それに、豪炎寺さんの願いも叶える手伝いをした。 皆で世界に行きたい。 私は立ち上がった。 . |