pure

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結局何をしても、全て顔に出てしまうんだ。その場を去ろうと再びリフティングしながら歩きだした。
なんか、皆の悩みとかを共有してしまう体質なのだろうか…
前にテレビか、ネット上のサイトで、“猫は飼い主となんらかを共有することができる”ってあったのを思い出した。
そんな感じなのかなぁ…それともただの心配性…?

「しろちゃん?」
「木野さん…」
「どうしたの?元気ないね」
「自分、何か最近乗れないんです。」
「乗れない?話、聞こうか?」

木野さんは私の肩に手を置いて目を合わせてくれた。
若干私の方が小さい…
私はありがとうございます、と頷いた。
木野さんはベンチに座るように言って、一緒に並んで座った。


「乗れないって言うのはその…チームの波に乗れてなくて…。もう決勝がすぐそばに来てるのにこうして木野さんとお喋りしたことありませんでしたし…。」

木野さんは黙って話を聞いてくれた。自分で何言ってるか分からないくらいぐちゃぐちゃの拙い喋り方。

「緊張してるの?」
「え……あ…う」

意味不明なことを言って顔が赤くなる。木野さんは、私のことは秋でいいから、そんなに固くならないで。と言ってくれた。
一通り話すと、今度は木野さん…秋ちゃんが口を開いた

「しろちゃんは、きっと優しすぎるんだよ。」

驚いて思わず顔を上げると、優しく微笑んでいた。

「しろちゃんは、人に気を使いすぎなのよ。だから人より疲れちゃうんだと思うわ。」
「でも私、皆と全然打ち解けてませんし、」
「関係ないわよ、しろちゃんのおかげで、最初はつんけんしてた飛鷹くんが心を開いてきたし、不動くんだって表情が柔らかくなった。しろちゃんと居るときの皆はすごく嬉しそうだもの。」
「…」

嬉しくて泣けてきそう。

「だから、しろちゃんが波に乗るんじゃなくて、しろちゃんが波を起してあげればいいのよ!」
「波を起す?」
「そう!もっと積極的に行かなくっちゃ!」

秋ちゃんは、立ち上がってしゅっとストレートを決めた。

なんか開放された。


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