「行くぞ!悔いのないゲームにしようぜ!」 キャプテン守が言うと、乗組員10人が「おう!」と雄叫ぶ。私は苦笑いでそれを見る 「よし、試合開始だ」 今度は響木さんが言う。皆返事をする。当たり前っちゃあ当たり前だ。 この試合、12-12という異色なゲーム。どうせぽっと出の私に合わせてくれたんだろう。ごめんなさい。 ポジションにつくと、何かオーラを感じる。オーラと言っていいのか悪いのか、何か皆おかしいぞ。 世界に行く、だとか全力でプレー、とかブツブツ言ってる 怖いったらありゃしない。 先攻はキャプテン円堂チーム。前々から久遠さんと響木さんに言われていたことを思い出した 「無理してでも頑張ってる風に動け」 と。 だからFWの人と一緒に上がった。皆上手い。私が手出しする必要なんてないなんて言ったら自惚れだと思う。 そうしている間にキャプテン鬼道チームがゴールを狙って必殺技を繰り出す。 しかしそれを笑顔で受け止めるキャプテン円堂。さすがだ。 「ボーッとしてんなよ」 「あ、ああ、不動さん。」 注意された。面白い髪型の人に。畜生… 上がってやろうじゃねぇか、と走り出すと、敵に囲まれし白い少年発見。彼は何を思ったかゴールに一番近い私にパスをした。 「(うっそ、)」 仕方なくパスを受け取り、回転をかけたシュートを打つ。我ながら速いシュートだ。 そのボールはGKをすり抜け、ポストギリギリのところに入った。 「…!!なんだ今のシュート!」 「少年!大丈夫ですか!」 「え?あ、はい…」 「よかった、ぶつからなくて。」 GK少年にそう言って戻る。皆の視線が痛い。立ち止まって当たりを見ると、やっぱり皆私を見ている。 「(…まぁいいか)」 GK少年はボールを前線に送る。キャプテン鬼道がそれを受け取るが敵に阻まれる。面白不動さんがパスを要求。 だがしかし。同じチームのロングヘアーの眼帯さんがそれを阻む。スライディングカットして「どうだ!!」と一喝。私唖然。不動さんは鼻で笑った。 「その程度で力むなよ。」 確かに、と思ってしまった。どんまい眼帯少年。 「油断するな不動」 「これは勝つための試合じゃねぇ。決めるとこだけ決めればいいのさ。」 「なんだと!」 私は想像してしまった。不動さんがキメているところを。 一人で肩を震わせて笑いをこらえる。だめだ。こんなアウェーな人間どこにもいねぇよ!もうダメだ!彼らの対人関係を知っていればもっとシリアスに考えられただろうな、と冷静になってみる。 とりあえずこの場から逃げ、再び攻め込む 。 パスが回ってきて、案の定囲まれる。それも大人数で。その場でボールを軽く蹴り上げ、そしてダイナミックに蹴り上げる。そして自分もジャンプして最前線の赤髪さんにパス。これぞダイナミックパス。www 赤髪さんはパスを受け取ってシュートを放ったがGK少年に止められてしまった。ドンマイ。 「俺だったホントはFWなんだ。MFなんて納得いかねぇ!みたいな!」 どこからかそんな声がして振り向けば、面白フェイスが嘆き、それを面白不動さんが見つめていた。そんな不動さんと目が合い、ニヤリと笑われる。怖い。 何するんだろう、と興味津々で不動さんを目で追い続ける。風丸、と木暮、という人を上がらせ、スキを作った。そこへ飛んで火にいる夏の虫。面白フェイスが駆け抜ける。 パスしちゃう味方。そういえば面白フェイスも味方。きれいにオフサイドトラップにかかってくれちゃってもう失笑っすわ。 そして不動さんのドヤ顔。 キャプテン鬼道チームで再開、不動さん一人でかけてゆく。そこに飛鷹さんがいる。棒立ち・さすが素人。助けに走る。待ってて飛鷹さん! 「通すな飛鷹!」 「お、ぉおす!」 とりあえず構えながら向かってゆく。だが不動さんがボールを高く蹴る。間 に 合 え ! 「そいやっ!」 「「!!」」 ボールを右足に当て、回転してシュートを放つ。まぁ見事に赤紫に輝いて向こうのゴールに突き刺さる。私唖然。キャプまもも不動さんも飛鷹さんも唖然。 まさか入るなんて… 「あは、はは…」 「た、助かったよ黒田!」 「危なかったですね。」 「ドンマイだ、飛鷹。」 「おす…」 まぁなんという!一瞬にして母性本能というものが働いて自分より背の高い飛鷹さんが可愛く思えた。 その後も次々と必殺技が繰り広げられ前半終了。 「皆!いいプレーしてるぞ!最後まで全力で頑張ろうぜ!」 「「おお!」」 「飛鷹さん」 「!…しろか。さっきは悪かったな。」 「大丈夫ですよ。私がフォローしますから!飛鷹さんも頑張ってください!とりあえず蹴ってみれば世界が変わりますよ!」 「…お前はいい奴だな」 「照れますよ」 「照れろよ」 「もう照れてますって」 「顔赤いな」 そんな笑顔で見つめないでください。 . |