pure

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夢を見た。

あの頃、しろの黒い髪が風に靡いている。
俺はしろを見ている。ここは多分天国なんだろう、と思ってしまうほど、幸せな雰囲気を纏っているしろ。後ろでは海が波打っている。

俺はしろに、幸せかと問う。

するとしろは今まで浮かべていた笑顔から、うすら笑いになり、髪は一瞬にして真っ白になった




そこで目が覚めた。

夢の中の人物は、自分の事を表していると聞いたことがある。俺は幸せか?少なくとも不幸ではない。しろは?は聞かれたら答えられる自信がない。だがしろが哀れだと思えない。

こんなにも長い時間、きっと義娘よりも長い時間を共に過ごして来たのに、しろの事を何も知らないでいる。

どうしようもない事実だ。

時計を見ると、約束した時間の15分前。こんなに寝坊するなんて我ながら情けない。悪夢に魘されるなんてまるで子供。

着替えて朝食を取らずに車に乗り込み、アクセルを踏んだ。朝食は途中でコンビニにでも買いに行くか。


黒田邸についたのは丁度7時30分くらい。鍵を開けると、目の前にはしろが立っている。立っているのは毎日目にしている真っ白なしろだったが、夢と現実がごっちゃになった自分は息が止まりそうになった。いや、もう止まっていた。
だがしろが首を傾げた時、正気に戻った。

車の中、ミラー越しにしろを見る。窓の外を見つめてからしろと目があった。

「久遠さんお疲れ気味なんすか?癒しますよ〜うへへ」
「余計なことを言うな。気持ち悪いことを言うな。」
「言いますねー。久遠さんご飯食べてないでしょ。寝坊したんですってね。」
「うるさい。お前こそ昨晩練習してたんだろう。今日はハードだぞ」

キョドる自分がミラーに映る。その後ろに笑顔の白い奴がいる。アクセルを踏んで発進した。。


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