pure

□03
2ページ/5ページ



「飛鷹は私が送っていく。しろは夕飯食べて寝ろ。」
「はーい。では飛鷹さん、また明後日。」
「ああ。」
「行くぞ飛鷹。」
「はい。」

しろは玄関で二人を見送ると、溜め息をついた。
それから久遠に言われたとおり、夕飯を食べ、シャワーを浴びて眠りについた。

ベッドの中、さっき自分が言った事を思い出した。

事故によって記憶を無くしたのか?事件によって記憶を消されたのか?自分には何も分からない。でも、両親が好きだったことは覚えている。顔は覚えていない。愛情だけははっきりと覚えていた。親がいた事実ははっきりと覚えているのに、事故以前の記憶はさっぱりない。しろ自身、それは有り得ないことだと分かっていた。

事故により親を亡くし、それから3年間、久遠道也と過ごしていた。

自分のことなのに何がなんだか分からなくなり、その日はもう寝ることにした。

(明日は練習だ…)


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]