「飛鷹は私が送っていく。しろは夕飯食べて寝ろ。」 「はーい。では飛鷹さん、また明後日。」 「ああ。」 「行くぞ飛鷹。」 「はい。」 しろは玄関で二人を見送ると、溜め息をついた。 それから久遠に言われたとおり、夕飯を食べ、シャワーを浴びて眠りについた。 ベッドの中、さっき自分が言った事を思い出した。 事故によって記憶を無くしたのか?事件によって記憶を消されたのか?自分には何も分からない。でも、両親が好きだったことは覚えている。顔は覚えていない。愛情だけははっきりと覚えていた。親がいた事実ははっきりと覚えているのに、事故以前の記憶はさっぱりない。しろ自身、それは有り得ないことだと分かっていた。 事故により親を亡くし、それから3年間、久遠道也と過ごしていた。 自分のことなのに何がなんだか分からなくなり、その日はもう寝ることにした。 (明日は練習だ…) . |