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結果はというと、ほんの10分も経たないうちにしろがシュートを入れて勝ち。

ゲームが始まった直後、決して体から離れないようなドリブルでFWを抜き、そのままゴールへ進む。
MFの一人がスライディングカットをしようとするが、しろは踵でボールを蹴り上げて回避。DFが必殺技“サイクロン”を使うがしろには通用せず。
源田の前まで一気に上がったしろはそのまま渾身の一撃を放つ。
源田は“フルパワーシールド”を使ったが敢無くゴールネットに吹き飛ばされた。

「おーわり。おつかれさまでした源田さん。」

しろはニッコリ笑うが、源田は目を丸くして彼女を見上げていた。
(なんて威力だ。それにスピードも尋常じゃない…)
しろの後ろから不動が現れ、ニヤリと笑った

「な?こんな女でも、10分足らずでシュート決めちまうんだよ。」
「不動、お前…黒田を知っているのか?」
「いや。さっき初めて会った。その時、俺のシュートをシュートで返して壁にめり込ませてたからこのくらいは出来るんじゃんねぇかってな。」
「いやー、そんなに褒めないでくださいよー。テレますってー」
「褒めてないことは確かだ。」
「なんでそうやって皆私を冷たくあしらうんですか!」
「お前の性格めんどくさい。」
「酷い。」
「まぁまぁ、黒田、お前、何時もどんな練習してるんだ?」

源田が尋ねると、しろはいたずらっぽく笑って源田を立ち上がらせた。

「内緒です。あ、安心してください。体力を増強させる怪しげな水飲んだり、パワーストーンなんて使いませんから!」
「そういう心配はしてない。ただ、お前女なのにきつい練習して傷とか出来てるんじゃないか?女ってそういうの嫌がるだろ」

源田はしろの足をチラリと見た。案の定かすり傷が沢山あった。

「そんなこと気にする暇なんてありませんよー。サッカーサッカー!」
「そうか…お前、顔は綺麗なんだから怪我しないほうがいいぞ。」

源田の発言に不動が顔を真っ青にしていると、しろは対照的に真っ赤になっていた。
(源田お前……)
(源田さんお前……)

「練習はこれだけでいいのか?不動も選考メンバーに選ばれたんだろ?」
「気持ち悪いぞ」
「あ?具合悪いのか?練習は?」
「あ、いや、何でもねぇよ。」
「黒田は…」

源田がしろの方に顔を向けた途端、しろは「ごめんなさーい」と叫んで走って逃げてしまった。

「練習お付き合いしてもらってありがとうございましたー!さよならー!!」
「あ、おい黒田!……なんだったんだろうな。」
「お前のせいだろ。」
「俺?」
(このタラシ野郎。)

源田にはまだ隠れた才能があると、不動は眉を寄せた。


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