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□4.騒がしい廊下で
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騒がしい廊下くらいは存在する。今、この瞬間に。足音が沢山近付いてきて、足の裏に振動が伝わる。
廊下の奥のカーブを見ていると、大量の後輩が攻めてきた!
先頭を走るグランは、私を見るなり「あー!」と窓を指差し、皆がそっちを見たすきにダッシュで向かってきた。

「優姫さん!!」
「てめー基山ァ!!」
「ヒロト!」

グランは犬のように私にタックルして、泣きながらひっついてきた。よしよし、と頭を撫でる。
追い付いた他の連中も私にタックルする。床に倒れたけど皆可愛いから許す

「皆ありがとう!助かったよ!」
「こんな格好で外走るなんて、優姫さんのためだけだからね!」
「何そのツンデレ。恥ずかしい格好しちゃって、あーあ。」

まぁ要するにピチピチ悪趣味全身タイツユニフォームだ。髪の毛がモサモサして擽ったい。

「皆聞いて、私大丈夫だから、皆はエイリアの最後を華やかに飾れるように、練習しておいで」

自分で言って、自分で傷ついた。エイリア支持者なんて何処にもいないけど、自分のチームが負けることを前提に戦うなんて、誰も嬉しいなんて思わないし、練習に励みたいとも思わない。
皆は暗い顔をして優姫を見た。

「私達のサッカーは間違ってるよ。あの雷門中の子達ももっと強くなる。だからいつかは負けちゃうんだ。」

自分で言って自分で泣いてる。起き上がって涙を拭うと、皆は一斉に立ち上がった
キョトンと間抜け面で見上げる

「俺達には、宇宙最強の優姫さん達が居る。」
「だから俺達は負けても勝ってる。」
「優姫のおかげなの。」

誰かが小田和正の歌を流し出す。

時を越えて 君を愛せるか 本当に君を 守れるか

BGMに乗せて、皆一人一人感動的なセリフを吐いて去っていく。

「優姫先輩が居るから、俺らは頑張れるんです」
「優姫さん、私がついてます。」
「一生ついていきます」

云々。BGM係もセリフを言って去って、残された私と治はポカーンとしていた。私は去ってゆくその子の手に握っているiPodを指さした。

「何であの子小田和正入ってるの?」
「きっとファンなんだろう。ほぼ全曲入ってるぞ。」
「うそやん。」



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