部屋がそのまま監禁部屋に移されたみたいだ。家具や何かもそのまま。一つだけ異変があったとすれば、白かった壁が薄紫になっていたところか。 その色素は全てエイリア石から抽出したものだと直ぐに分かった。エイリアンごっこも伊達じゃない。窓の外なんて、真っ暗な中に無数の赤紫の光がちかちかしているだけ。 果たしてこんなことをして私が真のエイリアンになれるとでも言うのだろうか。 ソファーに座ってスマホを見る。圏外…だと!? * その頃エイリア学園生徒の半数は、吉良星二郎の自宅へと向かっていた。 運転手のキラーエージェントを急かす。 目的地に着くと、生徒は我先にとバスを飛び降り、縁側目掛けて走り出した。 もちろん厳重な警備の前では捕まることしかできなかったが、警備員も人数が少なかったため、ほとんどの生徒が無事に縁側に着いた。 予想通り吉良は茶を優雅に啜っていたが、まっ先に向かってくるヒロトを見て立ち上がった 「どうした…?」 「父さん酷いじゃないかっ!!何で優姫さんを監禁部屋に隔離するの!?」 「そーだそーだ!!アンタ優姫をどうするつもりなんだよ!!」 「優姫さんを出して!!」 「お父様、私からもお願いです!!優姫先輩を閉じ込めないでください!!」 お願いします、お願いしますと頼まれる。誰一人として暴力を振るったり、暴言を吐いたりしていないのは、吉良が生徒達のたった一人の親代わりだったからだ。 親代わりの良心が痛み、吉良は俯いたまま頷いた。 「……分かりました。ユウは解放しましょう。」 そう言うと生徒達の表情がパッと明るくなった。吉良はキラーエージェントに、鍵を解除するよう連絡させた。 * その頃監禁部屋の前では治をはじめ、残り半数の生徒が待機していた。すると、厚い鉄の扉の鍵穴が赤くフラッシュし、ガチャンという音が響いた。 治は直ぐ様扉を開けると、走ってリビングへ向かい、驚いた顔で振り向いた優姫を抱き締めた。 「治!?」 「良かった、基山達が吉良星二郎の所へ行って頼んできてくれたんだ。」 「良かった…!」 優姫も治の背中に腕を回して力を込めた。わーわーと後から入ってきた生徒達も二人を囲んで喜んだ。 「優姫ー!!私実は寂しかったー!!」 「お前キモいぞ!あっち行け!」 「優姫さーん!!」 ぎちぎちになりながら優姫は、この部屋に居たら私がエイリアに近付いてしまうと思っていた。すると、治に腕を引っぱられ走って部屋から出た。 「優姫にはエイリア石なんて浴びて欲しくないんだ。もしそうなったらお前は人を傷つけてしまう。私はそんな優姫は嫌だ。」 「治…」 「だからお前は、出来るだけ目立ったことをするな。もしまた吉良星二郎に見つかったら…」 治、と優姫は彼の言葉を遮る。 「私は負けないよ。エイリアにも、大仏にも。」 「仏教はなかなか手強いぞ。」 「大丈夫。いざとなったらこの手で天に召す。」 . |