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□3.校庭の真ん中で
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試合当日、久しぶりにエイリアメイクを施し、エイリアヘアーに変身する。そして趣味の悪いピチピチ全身タイツの如くユニフォームを身につける。
恥ずかしいったらありゃしない。
部屋を出るとまっ先に抱き締められる。天使ですか?

「監禁だなんて物騒なことされるなんて…本当にお前は馬鹿だ」
「馬鹿じゃない優姫ちゃんなんて、治は好きになりますか?」

冗談交じりに本気で言うと、首を横に振られる。髪が擽ったい。
体が離れると今度は唇が密着する。

「会えるのも、キスも最後?」
「直ぐに出してやる。一杯キスしてやる。」
「何か珍しいね。」
「私だってそれくらい分かってる。キャラ作りに力を入れすぎたせいかもしれんな」

喋り方だって、そんな優しさだって、顔だって腕だって指だって綺麗な瞳だって、砂木沼治のままで、安心した。白目黒いけど。
私は遠くでミューが呼んでいるのに気付いて自分からデザーム様にキスをして、「エイリアに支配されないで」と言って走った。




バスに乗り込み、試合会場へ向かう。向かうと言っても登場する場所めがけて煙玉みたいなスモークを噴出させて、フラッシュたいて一瞬のうちにその場へ走ると言う強硬手段。何が何でもエイリアンじゃないといけないらしい。
バスの中の風景は、修学旅行にでも行くかのようなほのぼのとした雰囲気。きっとうちのチームには監禁の件が回っていないんだと、直感的に、そう感じた。
隣に座るFWのミューが、心配そうに私を見つめる

「大丈夫ですか優姫さん」
「大丈夫ですよ秦さん。」
「久しぶりに名前で呼ばれた気がします。」
「大丈夫ですか秦さん。エイリアンになってませんか?」

ふふふと笑うと苦笑いをされる。この子も皆人間。なのにあのアホ大仏は…

「今日はいい試合をしましょう。」
「そうですね。ではみなさん聞いてください」

立ち上がって後ろを向くと、チームメイトはこちらに注目する。皆大好きな人で、守らなきゃいけない人。

「キラーエージェントさんには許可を貰って、今このバスには無線も何もないの。だから喋りたい放題なのよ。だから聞いて、」

今日はいい試合をしましょう。今この秦さんに言ったけどね。で、私達の実力を見せつけつつ、楽しくサッカーやるために、今日はエイリア石を使いませーん!まぁこれからも使ってるふりしてもらいたいんだけどね

なんて、緩く喋っているけど、皆真面目に聞いてくれてる。このチームのキャプテンになれてよかったと、卒業式みたいな事を頭の中でぼやく。


隣のミューが何かに気づいた様子だった。


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