pure

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当然ながら私はFW。南雲さんと涼野さんもFWで試合を始めた。
ウィングの私はさっそく相手チームを切り込んでゴールまで向かう。
そのままゴールにシュートを入れようとしたが、南雲さんが声を上げる

「黒田!!パスだ!」

一瞬びっくりしながらもシュートの体制から無理矢理パスを繋げた。まぁ当然ながら外れてしまい、フィールドアウト。

「どうしたんだよ、黒田龍也の娘だろ」
「はは、お父さんのファンなんですね。すみません出来の悪い娘で。」

痛い。

「それにしても感激だぜ。いくら娘とはいえ龍也の血縁関係のお前とサッカーできてるなんてよ。」
「ありがとうございます」

痛い。

「次はきっちり決めろよな!」
「はい!」

い た い

「龍也の」

「龍也」

「龍也は」

パス、パス、シュート打て、上がれ!そのままだ!行け!こっちだ!

「ハァっ、ハァっ…ッ…ハッ…」

いかん、バテてきた。自分で言うのもなんだけど、結構珍しいじゃん。体力と脚力だけが取り柄なのに、なんでこんなに…

「いまだ黒田!!打て!!」

南雲さんの声が脳内に直接響く。響くといっても、キンキンしていて頭が痛い。
突然頭を何か、鈍器で殴られたような感覚に陥る。
前にのめりこむように倒れる。目の前の砂木沼さんに受け止められた。

「大丈夫か、」
「すみませんね、なんか…調子でなくて…」

砂木沼さんの肩を掴んで立ち上がろうとするけど、ただシャツを弱弱しく握ることしかできなくて、結局体を預けてしまう。

異変に気付いた久遠さんが笛を鳴らして試合を止め、私に駆け寄ってきた。

「しろ。」
「くど、さん」
「砂木沼、ベンチに運んでくれ。」
「はい。」

砂木沼さんにいとも容易く抱え上げられ、ベンチまで運ばれる。男に免疫ないはずなのに砂木沼さんの胸に顔を押し当てて泣いていた。

「…黒田」
「ごめん、なさい…」

砂木沼さんは戸惑いながらも私をベンチに寝かせるとベンチの横に膝をついて手を握ってくれた。



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