pure

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また、アラームに起こされ、眠い目を擦ってベッドの中で寝返りをうった。午前5時。これから朝食を作って、食べて、久遠さんが来るのを待つだけ。
ベッドから降りてドレッサーの前で髪を梳かす。思い出す両親。
事故でこんな色になっちゃったと聞いたけど本当なのだろうか。ここまで綺麗に白髪だと黒髪に戻らなくても良いと思ってしまう。

「…まいっか。」

リビングへ降りて、キッチンで朝食を作る。作ってテレビを付けて、ニュースを見ながらトーストにかじりついた。
その瞬間、チャイムが鳴る。「また久遠かッ!」と脳内で叫び、気だるいと思いながら玄関へぺたぺたと向かう。寝癖がぴよぴよ跳ねる。まずいな、これは今日一日直らないぞ。

玄関を開けると、冬花が立っていた

「冬花…!なんで?」
「早起きしちゃったから!」
「さっすが冬花ー!入って入って!ご飯食べた?」
「うん、もう食べたよ。今日はお父さんが寝坊したみたい。」

あの久遠さんがッ!?と歩く足が止まる。冬花はそんな私を見てクスクス笑った

「しろはご飯まだでしょ?早く食べちゃおう。」
「お…おう…」

何があって久遠さんが寝坊するんだろう。疑問に思いながらも残りの朝食を食べた。ニュースキャスターは辛うじて笑顔の無表情でニュースを報道している。

『―――男性は何者かに足を引かれて溺れそうになったと話しています……』

そのニュースは私の耳には届いていなかった。
練習着とジャージで迷っていると、冬花は「ジャージの方がかっこいいよ」と言ってくれたのでジャージにした。もちろん雷門中のジャージ。
暫く一緒にニュースを見ながらリビングで寛いでいると、カチャンと鍵が開く音がした。
テレビを消してエナメルバッグを肩にかけて玄関まで行くと、丁度久遠さんが入ってきた。
久遠さんは眠そうな顔で私を見た途端、目が見開かれた。

「…え?」
「…いや、行くか。」

なんだか挙動が不審な久遠さんの後を追う様に冬花は家を出て行き、私は首を傾げてシューズを履いた。


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