アラームの代わりに、携帯電話が鳴って目が覚める。なんだよこんな時間に、と唸りながら携帯をとり、通話マークをタッチする。 「もしもし」 声が最悪だ。まだ起きてないからほぼ男声。目が開かないから発信源が誰だか分からない。 「しろ、起きろ」 「あー?誰?」 「久遠道也だ。」 「久遠?あーすんません!久遠さんでしたかー!おはようございます!」 「全く。」 電話を掛けてきたのは、幼馴染の久遠冬花の義理の父親久遠道也。一番仲が良くて、毎日遊んでたから彼にも世話になってる。 それは今も変わらず、親のいない私の世話を焼いてくれてる。所謂お節介な人だ。私は新聞配達と毎日知り合いの店で年齢詐称してバイト。それで生活費を補っている。それでも心配なんだろうか。 今は個人でサッカーの指導をしてもらっている。 電話越しに溜め息をつかれ、「いやーすみませんね」と声を掛けた。 「で、何で電話掛けてきたんですか?」 「今日は選考試合だろう。忘れてたのか?」 「あーそうでしたー!じゃあご飯食べて待ってるんで迎えに来てください。もちろん冬花も連れてきて。」 「生意気な奴だな。」 「そんなこと言ってー。どうせ迎えに来てくれるくせにー」 「いや、わからんぞ。お前今何時だか分かってるのか?」 「あっはっは……」 笑って誤魔化しながら時計を見ると、もう7時過ぎていた。 叫んだら電話を切られた。泣きながらご飯食べた。 . |