「秋ちゃん、秋ちゃん」 「なぁに?」 食堂で片付けをしている秋を追い回すしろ。食後のメンバーは不思議そうにその光景を見ていた。 「なんか…犬みたいだな」 「ああ。」 「何かあったのか?」 「洗脳されたとかね!ウッシッシ!」 風丸と鬼道は呆れながらも洗脳という言葉がしっくりきていた。 もう本当に犬のように付いて回るしろ。しかも極上の笑顔で話しかけていた。 「お手伝いしますよ!」 「いいの?選手なんだからしっかり休まないと…」 「いえ、11時にならないと眠れないので!」 「そう、ならよろしく!」 「はい」 ジャージを腕まくりし、食器を洗うしろ。意外な一面だ、と鬼道をはじめとするイナズマジャパンメンバーは面食らっていた。 * 「木野」 「鬼道くん、どうしたの?」 しろに帰っていいよ、と言い、しろを大人しく部屋に帰らせた秋は、春菜と冬花と食器を拭いていた。 鬼道が部屋に帰る際に木野を呼び出した 「黒田に、何か聞いたのか?」 「何かって?」 「やたら気に入られたじゃないか。」 「ああ、しろちゃんの話を聞いてあげたの。」 「話し?」 うん、と秋が頷く。 聞けば、悩み相談を受けたら懐かれてしまったというのだ。話の内容はチームに馴染めず、モチベーションが上がらないという内容だったらしい。 「そうか。」 「うん、でもどうして?」 「…黒田はどこか影があって、俺はそれに近寄りがたいんだ。何か悩みを抱えているとか、過去に何かあったとか。そういうのを教えてくれさえすれば、もっとチームに馴染めるんだろうな。」 「……そうね。」 「話はこれだけなんだが…ありがとう」 「ううん。しろちゃんをよろしくね。」 「こちらからも言っておこうか。黒田をよろしく」 一見しろの押し付け合いだが、両方とも彼女を譲る気なんて無かった。 . |