おかえりなさい(完結)

□2#ろしあんるーれっと
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「お茶、美味しかったです。
 また寄らせていただきますよ」

 よかった、と安堵の笑顔を零す私の腰の当たりに小さな手が巻きつく。

「きり丸」
「美緒姉ちゃん、どうせなら俺と一緒に帰ってよ」

 淋しいなんて可愛いな、ときり丸の頭に伸びかけた手は次の言葉で留まってしまった。

「美緒姉ちゃんが手伝ってくれたら、この休みの間にもっと稼げるのにーっ」
「こ、こら、きり丸っ」

 撫でようと伸ばしていた手をそのまま握り、軽く落とす。
 こん、という軽いものだったが、驚いた顔できり丸が離れる。
 そうすると歳相応で可愛くて、私はしゃがんで、きり丸を抱きしめた。

「あんまり頑張りすぎないでね、きり丸。
 御飯はちゃんと食べて、夜はしっかりと布団で寝ること。
 それから、危ない仕事はしないこと。
 それから、休みが終わったら、元気な顔を見せてね」

 最後に額を合わせて、私がにっこりと笑うと、きり丸は泣きそうな顔で笑って、抱きついてきた。
 その後に聞こえてきた小さな声は、私だけの秘密だ。

 それから、しんべエもぎゅっと抱きしめてから、三人の前に立ち、丁寧に頭を下げる。

「またお待ちしてます」

 三人の姿が見えなくなるまで、ずっと私はそれを見送っていた。
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